サトシの夢は今も生きているか?

サトシの夢は今も生きているか?

「(8月25日)閉幕挨拶 - Is Satoshi's Dream Still Relevant Today ?」を大手メディアはどこも取り上げないので、翻訳しました。

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翻訳者:Shilpin Lin

「サトシの夢は今も生きているか?」

氷見野良三 (JFSA/金融庁長官)による閉会の辞 / ブロックチェーン・グローバル・ガバナンス・カンファレンス(BG2C)にて(2020 年8月24日~25日に都内にて開催)

皆さんこんばんは。二日間に渡って積極的に参加頂きありがとうございます。

2008年10月、グローバル金融システムはメルトダウンの瀬戸際にありました。長年の実績がありまた信頼され権威もあった各金融機関は信用を失おうとしていました。その月、G7各国の金融大臣と各中央銀行総裁は当月の会合をワシントンDCで開き、アクションプランの一番上の項目は救済措置に関するものでした―「システム上重要性を有する金融機関を支援し、その破綻を避けるため断固たるアクションを取り、あらゆる利用可能な手段を活用する」

この信任の危機の最中、ナカモトサトシは静かに彼のビットコイン論文をメーリングリストに送ろうとするところでした。サトシは、いかに経済の中核インフラである決済システムが、信頼されるサードパーティが介在せずとも完全にピア・ツー・ピアで構築されることができるかを記述しました。匿名の人間から受け取ったビットコインが信頼できかつ真正であることを担保するのに造幣局も、銀行も、規制当局も、中央銀行も、金融大臣も、警察官も、検察も、裁判所も軍も必要としません。この提案並びにプルーフ・オブ・ワーク、タイムスタンプそしてビザンチン障害耐性を含む各概念はこれまで慣れ親しんできたシステムの性質について私達が熟考する助けとなりました。

以来十年が経ちました。私達は再び、信用における基本的な問題について熟考する必要性に直面しているのかも知れません。「信用という社会の構成概念」の中には複数の中核の構成要素が含まれ、 その内のいくつかは急速な変化の真っ只中にあります。

例えば信用における重要な構成要素の一つとして対面のミーティングがあります。対面で会うことで相手に関する豊富な情報を得ることが出来、そのような情報を解釈する動物としての本能と直感について私達はある程度自信を持っています。しかし現在、COVID-19のため、金融大臣や中央銀行総裁のG20会合から仕事の後の軽い飲み会に至るまで、多くの対面のミーティングがオンラインでのコミュニケーションに取って代わりました。このポストCOVID 時代において、目で直接見たものだけ信用するというモデルを若干補完する必要があるのかもしれません。

もう一つの信用の構成要素は評判の良い、よく訓練された専門的な編集者で、彼らは情報の門番として働いています。ブリタニカ百科事典の編集者は各項目について高名な寄稿者を選定し、彼らを信用することで検証の時間を節約しています。しかし今日、私達は匿名の著者によるウィキペディアのエントリを読んだ後、引用元とエビデンスを確認します。一般に検証のコストが低減しつつある中、私達は必ずしも信用せず、検証を行っています。

古き善き時代は、新聞の編集者が社会で主に流通する情報をコントロールしていました。今日、多くの人々が自分の好きなSNSのみ見ています。時として、私達は単純に信じたいことだけを信じるのです。

政府もまた、信用の大きな構成要素であってきました。私が私であることを示すため私達は、パスポートまたは運転免許を提示します。ビジネスの相手が契約違反に及んで私を裏切った場合、私は裁判所へ行き政府に義務の強制を求めることができます。

しかし分断された地政学的リスクが存在する今日の世界では、人々は政府による措置によりそれらに対するすべての信用の源が除去されないよう、政府をベースとした信頼とは別の代替手段を維持することを望むかも知れません。それに加え、物理的な場所と経済活動のつながりが曖昧になってきたため、政府による強制の有効性は弱まってきている可能性があります。

よって、従来の信用の構成要素は今後はこれまでほど機能しないのかも知れません。なら、今のこのニューノーマルにおいていかに信用構築を行っていけば良いのでしょう?ピアレビュー、透明性、改ざん不能のタイムスタンプされた記録、そして効率的な認証プロセスを含む代替と補足の可能性が私の頭に浮かびます。もし、万が一にもそれらがより大きな役割を果たす可能性があるとしたら、世界は確かにサトシが示唆したような方向に向かっているのかも知れません。

サトシは彼が提案したネットワークから信用の要素を除去しませんでした。彼は信頼されるサードパーティを信頼される各ノードのコミュニティで置き換えました。CPUパワーの過半がネットワーク攻撃で協力していないノードによりコントロールされるという意味でコミュニティを信頼しており、この信頼は、沢山のプルーフ・オブ・ワークを提供したノードがビットコインの価値を破壊するインセンティブを持たないはずであるという考えに基づくものです。よって信用は途方もない量の電力そして採掘者がデプロイする無数のマイクロチップに依存することになりました。これは受け入れがたいリソースの無駄なのでしょうか?そうかも知れません。が、現行の各ブロックチェーンにとどまらず、ある種の「プルーフ・オブ・ワーク」が私達の周りに満ちているのではないかと私は考えます。真剣かつ地位のある人々だけが行えると一般の人々に信じさせるために十分に費用のかかるプロセス、またその費用は疑わしいモチーフに費やされないとプルーフ・オブ・ワークを大まかに定義してみましょう。我が国のGDPの大部分がこの種のプルーフ・オブ・ワークに費やされているのではないか。

顔に細かく彫刻されている銀行券の束の山、豪奢な建物で良い仕立てのスーツを着ているビジネスピープル、複数回の訪問と美しくデザインされたプレゼンテーションのスライド、高級レストランでの接待、広告宣伝に登場する映画スター、スマートなカバーのきちんと製本された本、カサノバが恋人に渡す大きなバラの花束、あるいは有名な大聖堂で執り行われる結婚式について想像してみてください。

これらは銀行券、ビジネス提案、広告の品、本、愛情またはそれに帰せられる結婚の持つ内在的な価値とは全く関係がありません。数兆トンにも登るCO2が排出され、信用に足りまた真剣という印象を与えるためだけに対応する金額のドルが費やされています。

ブロックチェーンの設計上の諸問題に対処するため私達は各構成要素について熟考する必要があり、それに成功した場合、その結果としての概念やツールは社会全体における協力の範囲を拡大する助けとなりえます。

サトシの夢は今も生きているのでしょうか?

12年前にサトシによって始められたイノベーションと探索のプロセスは確かにラディカルなムーブメントであり、社会の構成概念について熟考し、根本的な変化のための手段を追求することを私達に促すものです。そして、そのような取り組みは表面的な解決策では解決できない問題を提起しているコロナウィルス、フェイクニュース、超グローバル化そして格差の時代においてこれまでにも増して関連性を持っているはずです。

BG2Cへのご参加ありがとうございました。再び対話の続きを行える日を楽しみにしております。

東京の夜をお楽しみください。ありがとうございました。

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どう思われますか?近年(ではないか・・・、大昔からそうだな)ルール作りする側が「隠蔽」「改竄」「捏造」をするようになり、私は頭来て、失望し、ビットコインを信奉するようになりました。

氷見野長官は、パーミションレスなブロックチェーンの概念をよく理解したとみています。ただ残念ながら、ビットコインを推進することは、立場上ありえないと思います。

ここで長官はジレンマにぶち当たります。そう、真のパーミッションレス・ブロックチェーンはビットコイン以外にありえないこと。乱数の壮大なパワーとゲームセオリーを仕組みとした、幸運にもスケーリング(まだヒヨコに過ぎないが・・・)できたビットコインを受け入れることは、過去・現在を否定することと同義語ですから。

でも葛藤する必要はありません。ビットコインすら現行の政治・社会・法律システムを無視して成り立つことはありません。我々民衆のボトムアップのお金という、一つの選択肢として守って頂ければ良いだけです。

参考までに製作したドキュメンタリー2本を紹介させていただきます。

マジック・マネー:ビットコイン革命 (登壇者:HOPE氏が出演)

Bitcoin: Beyond The Bubble

NAYUTAの栗元氏も登壇されていたんですね、さすが。

 

 

 

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記事を書いた人

お金にはハード(誠実)とフレキシブル(過剰になると不誠実)、2種類が存在すると30歳後半で初めて知り衝撃を受ける。その後ビットコインに出会い啓蒙活動を継続中。ドキュメンタリー作成はその一部: マジックマネー、ビットコイン・バブルを超えて。各国中央銀行は最低2つ以上あるべきが持論。

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