[和訳] BTC HODL wave ーBTCのガチホの割合ー

[和訳] BTC HODL wave ーBTCのガチホの割合ー

今回はlost BTCの数量の推定を最終目標に、勉強のためにHODL waveを読んでみました。折角なんで公開して成仏させることにします。この記事ではlost BTCの推定までたどりついておりませんので、その点はご容赦ください。(とりあえず期間中はチャリティにしております。)

ロストBTC算定の後編はこちら

ビットコインはUTXO (Unspent Transaction Output) と呼ばれる独特の会計システムを使用しています。すべてのUTXOは、それらが作成されたトランザクション/ブロックによってタイムスタンプされています。すべてのビットコインはどれかのUTXOに含まれているので、すべてのビットコインには各々独自の”年齢”があることになります。これはビットコインが最初に採掘された年齢/時間という意味ではなく、トランザクションで最後に使用された時間に基づくものです。

ビットコインにおいてはブロックチェーンに完全な取引履歴が保存されているため、過去に遡ってUTXOの年齢分布を分析することが可能です。Unchained Capitalは数年前にビットコインのUTXOの履歴を最初に分析し、その結果を基に当社のクリプトレンディング製品を開始しました。

 

ビットコインUTXOの年齢分布(age distribution)

以下のチャートは、ジェネシスブロックにまでさかのぼるビットコインのUTXOの年齢分布(age distribution)を表示しています。


色のついた帯は、凡例の時間枠内で最後に取引・移動されたビットコインの割合を示しています。下部の暖色(赤、オレンジ)はごく最近取引・移動されたビットコインを、上部の寒色(緑、青)は長い間取引されていないビットコインを表しています。ビットコインのマネーサプライはこの期間に50BTCから1700万BTCに増加したため、チャートは各日付時点に存在するBTC(=その当時の総発行量)で正規化されています(左Y軸)。黒い線はUSD/BTCの価格を示しています(対数、右Y軸)。

この図は、ビットコインの所有権に起きた大きな変化を示しており、とても魅力的です。下部の暖色系のゾーン(1日未満、1日~1週間、1週間~1ヶ月)のスパイクは、大量のビットコインが突然移動したことを示しています。上部の低温色の年齢帯(2~3年、3~5年、5年以上)は、取引されていないビットコインが上昇期とその次の上昇期の間にじっとしていることを示しています。この2つのパターンは、市場サイクルの間のビットコイン投資家の行動を説明します。

従来の資産では上のようなチャートは作れません。これらのデータを全歴史を通して綿密に追跡できるのはビットコインをはじめとするパブリックブロックチェーンだけです。これにより市場動向のレトロ解析が可能となります。


イントロ・The HODL wave

ビットコインの価格が上昇するたびによく見られるパターンは、私たちが「HODL wave」と呼んでいるものです。HODL waveは、大量のビットコインが上昇期に取引され、結果としてBTCが若返り(1日~1週間前)、新しい所有者のHODLによってゆっくりと後続の各バンドに老化していくときに発生します。

HODL waveは、各バンドが上昇期から徐々に突然大きく(太くなる)ことにより、曲線のパターンとしてチャート上に現れます。下の画像は、最大のHODL waveのいくつかを描画したものです。

高値にはラベルが付けられている。白い実線は、「HODL wave」を表しています。これは、若いビットコインが後続の各バンドに老化していくパターンで、新しい所有者がHODLしていることを示しています。3つの最大のHODL waveのみが表示されています。

 

HODL waveの歴史

ジェネシスHODL:2009年1月~2011年6月 ($0 - $33)

最初のHODL waveである「ジェネシスHODL wave」は、ビットコインには当時価格がなかったため、価格の上昇によって引き起こされたものではありません。サトシを含む初期のマイナーたちがビットコインを保持したことによって引き起こされました。

ビットコインの歴史の最初の1年の間、コミュニティは小さく、BTC/USDの価格を提示する取引所もありませんでした。2009年中に採掘されたコインは、このような理由からトランザクションに乗ることが少なく、放置されていたために、徐々に後の年代帯へと蓄積されていきました。
そのため、ジェネシスブロックから十分な時間が経過すると、図の中に色付きの年齢帯達が突然現れます(例えば緑色の12~18ヶ月のバンドは、ジェネシスブロックからちょうど12ヶ月後に現れます)。バンドはしばらくの間成長しますが、その後、ビットコインが次のバンドへと年齢を重ねるにつれて縮小し始めます。

当時はビットコインを売る場所がなかったので、ジェネシスHODLはチャート上で最もハッキリとしたHODL waveの一つです:初期の採掘者はビットコインをHODLして”このwave"に乗る意外に選択肢がありませんでした。これ以降のHODL waveは、保有者がいつでもfiatに変換することができたため、ジェネシスHODL waveほどハッキリとはしていません。

このパターンが最初に変化したのは2010年半ば/2011年に入ってからでした。Mt.Goxを含む最初の取引所が2010年にスタートしました、Bitstamp、Kraken、Coinbaseはすべて2011年にローンチされました。12ヶ月以上老化したコインの割合(薄緑色)は、2010年6月に初めて増加が止まりました。これは保有者がビットコインをオンラインでトレードできるようになった最初の時代です。ビットコインの価格は2011年2月に初めて1ドルに達しましたが、初期のマイナーは数千BTCを持っていた可能性が高いです。そりゃ誰でもちょっとは現金化しますよね?

2011年4月23日までに、サトシはビットコインが1ドルに到達した瞬間にビットコインから離れました。 サトシは~100万BTCを持っていると推定されているので、この時点ですでにサトシ(he/she/thye/it)は億万長者になっています。もしかしたら、それだけで十分だったのかもしれませんね。

I’ve moved on to other things. — Satoshi Nakamoto, April 23rd, 2011 (1 BTC = $1).

なんというさりげない野郎なんだ 🙂

 

2011年のHODL:2011年6月~2013年12月(33ドル~1000ドル)

2011年6月からビットコインは最初の大暴落に見舞われ、2011年11月までに33ドルから2~3ドルまで下落しました。そして次に2013年4月に198ドルへ上昇するまで約2年かかりました。2011年6月に33ドルまで上昇したときに売却したホルダーは全員原理的には初期のマイナーのはずです、他の誰も売却するためのBTCを取得できませんでしたので。

しかし、198ドルまでの上昇期は違います。上昇期に至るまでに最も幅が狭くなったバンドは、「12〜24ヶ月」でした。これらは利益を得るために売却した、マイナーではない最初の投資家でした。これらの投資家は、以前の33ドルの価格上昇の前にBTCを購入し、その後もBTCをHODLしていたと考えられます。

ビットコインは2013年4月の198ドルから再び暴落し、2013年7月には69ドルまで下落しましたが、2013年12月には1000ドルを超えて急騰しました。新たな多幸感の波が押し寄せる前に、パニック売りをする時間はあまりありませんでした。

これがニュースで取り上げられた最初の大規模な上昇期でした。Mt. Goxは勿論、Bitstamp・Kraken・Coinbaseなどの多くの主要な取引所は数年前から存在しており、その頃にはこの”ビッグウェーブ”に対応するのに十分市場は成熟していました。

1000ドルへの上昇期の直後、BTCの60%以上が過去12ヶ月以内に使われていました。これは、BTCのマネーサプライにとって史上最も”全体として若返った”瞬間であり、ビットコインの平均的な保持時間が最も短くなった瞬間でした。誰が売ったのか?もう一度言いますが、それは33ドルのピークと198ドルのピークを経て、過去2~3年に購入した投資家でした。

 

グレートHODL:2013年12月~2017年12月(1000ドル~19000ドル)

ああ、ビットコインの長い長い冬。2013年12月に暴落した後、ビットコインは3年以上後の2017年2月まで再び1,000ドルに到達することはありませんでした。しかし、2017年12月に年末までに到達した19000ドルへの上昇期は壮観でした。前よりもっと多くの報道があり、機関投資家やファンドのような「伝統的な」投資家も含め、より多くの新規投資家が集まりました。

2017年2月には価格が1000ドルを超えていたので、ビットコインの60%近くが12ヶ月以上老化したものでした。その1年後、19000ドルでピークを迎えた直後には、ビットコインの40%だけが12ヶ月よりも老化したものになっていました。つまり2017年中、ビットコインの20%が数年ぶりに取引されたことになります。なぜでしょうか?3つの関連する理由を紹介します。

1. 利益確定

2017年の取引量の一部は、利確を目的としたものでした。BTCを12ヶ月以上保有していた投資家、特に2~5年保有していた方々が売り手となりました。BTCの15%がこれらの年齢層から外れ、今回の上昇中に再び若年化しました。売りは2017年2月にBTCが再び1000ドルを超えたと同時に始まりました。

2. ICO

また、この時期はETH、ERC20トークン、ICOの台頭とも一致します。多くのICOがビットコインを受け入れ、多くのホルダーは、BTCをICOに投資することで、ETHエコシステムの価値の高騰を享受しようと考えました。何年もの凍てつくようなビットコインの冬に耐えてきた後なので、ETHとERC20の暖かい抱擁に向かうのも無理もないことでしょう。

3. BCHとSegwit

最後の要因は、2017年8月1日のBitcoin Cashへのハードフォークと、その後の(Bitcoin側の)segwitの使用へのアップグレード(2017年8月21日)でした。これらのイベントはどちらも、フォーク両方のコインを請求したり、新しいセグウィットアドレスにビットコインを移動するようにホルダーが行動したりしたため、結果として数年ぶりに大量のビットコインが取引されることになりました。

データはこのイベントの重要性を明確に示しています。2017年8月の1ヶ月間に、ビットコインの25%が1ヶ月未満に若返りました。これは、ほぼ400万BTC、つまり当時の価格で170億ドルの価値に相当します。

 

Next HODL:2017年12月以降(19000ドル - ?)

2017年の上昇と2018年の下落を経て、今や12ヶ月よりも老化したビットコインの割合はわずか40%にまで低下しており、ビットコインの平均年齢は、1000ドルへの最後の大ラリーの直後とほぼ同じくらい「全体的に若い」状態になっています。

そして、すべての大きな上昇期の後には、力強いHODLがありました。データが示すように、新しい世代が長期的にHODLしようとする展開がすでに起こりつつあります。2018年1月に始まって、6~12ヶ月経過したビットコインのバンドは、7.76%という低水準から14.63%と2倍に反発しました。


今後数ヶ月/数年にわたってこの新しいHODL waveを追っていくのは興味深いものになるでしょう。この波が終わり新たなサイクルが発生するには、どのくらいの価格が必要なのでしょうか?サイクルが再び始まる前に、平均的なビットコインの年齢はどれくらいになるのでしょうか?次のホドラーのコホートはどれくらい大きくなるのでしょうか?

 

[現在のHODL wave]

作ってみたんですが、ようわかりませんね。(200615)

前より立ち上がりが早い気がするのと、二重のHODL wave(赤線)が観察されます。

 

 

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