オニオンメッセージと非同期ペイメント

以前の投稿でライトニング決済における受信者の匿名性向上についての技術や現在策定中の仕様について紹介しました。その主な技術はルートブラインディング、オニオンメッセージ、オファーの3つで、それらを仕様確定前に実験的に実装していたのがCore-lightningとEclairで、それを追随するかのようにLDKがオニオンメッセージをサポートしたことが明らかになりました。

オニオンメッセージを使うことで、より柔軟な決済手法やサービスをライトニングネットワーク上に作ることができます。上記ツイートで引用されている記事の中にはオニオンメッセージを使った非同期ペイメント(オフラインペイメント)について記載がありました。通常、ノンカストディアルなLNウォレットの場合、送信者が送金する時に受信者はオンラインでいる必要があり、この制約がライトニング決済のユーザー体験を大きく低下させています(※カストディアル型ウォレットの場合、受信者は特に意識する必要はない)。上記記事内で紹介されているライトニング決済での非同期ペイメントの仕組みは以下の図のようになります(元々のアイディアはこちら)。

また、この仕組みを実装するための仕様について以下のPRで議論がされています。

Add the ability to hold HTLCs before forwarding (FEAT 52/53) by TheBlueMatt · Pull Request #989 · lightning/bolts (github.com)

ライトニングネットワークではインバウンドチャネルの販売やサブマリンスワップによる流動性調整などLSPの役割が重要視されていますが、この非同期ペイメントもLSPが大きな役割を担っています。LSPは一見するとハブ・中央集権的ではありますが、ハブへの信頼は最小限になっているので資金を失う可能性・カウンターパーティーリスクを最小限にすることができます。これがカストディアルなサービスとの大きな違いであり、LSPサービスの充実がユーザー体験をさらに向上するものと期待されています。

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