日本のビンテージNFTに注目すべき理由 【Rare Japanese NFTsリニューアル】
2017年以前にビットコインのブロックチェーン上で発行された日本のビンテージNFT関連の情報を主に集めたサイトRareJapaneseNfts.comをリニューアルしました。
知る人ぞ知る日本のビンテージNFTの情報をまとめ、ブロックチェーンやNFTの歴史に残し、日本のNFT作品が国内外で長期的に生き残ることを目標に、デザイン、内容的にもパワーアップしたので、アーティスト、コレクター、これから始める初心者含めて是非活用してください。
主な機能としては
- 主に2017年以前に発行された日本のビンテージコレクション、及び日本に関連するNFT作品の画像や発行枚数などの基本情報の集約
- 当時作られた作品やアーティストの情報や背景の紹介
- ビンテージNFTの歴史や関連ツールのチュートリアルを含むリソース集
- BTC、ライトニング、ETHなどでNFTが購入可能な、外部マーケットプレイスへのリンク
などです。
サイトの仕上げに想定より時間と労力がかかってしまったのですが、過去の色々な作品を流して眺めてみたり、新しい作品の発見があったり、作っている方も結構楽しく、日本のかつての名作たちへの愛に溢れたサイトにとりあえず一段落ついたと思います。
ビンテージNFTとは?
ここから先は、去年メインストリームを巻き込んだ「NFTブーム」が来る少し前の2020年5月に自分が書いた「さらばPepecash」という記事を読んだ後に読むとさらに味わい深いと思います。さらば→ビンテージNFTとしての奇跡の復活のストーリー。
そもそもビンテージNFTという言葉自体を聞いたことがない人がほとんどだと思うので、全体の概要を紹介するおしゃれなスライドを別途作成しました。よくわからない人は是非まずはこちらのレポートをお読みください。
定義自体も曖昧ですが、NFTの初期のコンセプトの確立に大きな影響を与えた2017年以前のトークン系のプロジェクトを総称してビンテージNFTと自分は捉えています。
ちなみに100枚や1000枚などの少数枚数限定発行型のビンテージNFTは厳密には1/1のNon fungibleではない、という指摘もあり、それは別に間違いではないと思いますが、どちらかというとNFTという言葉が画像ファイルなどとトークンを紐付けてそれをコレクション、売買する、という意味合いで流行ってしまったので、それらのコンセプトを当時作っていったプロジェクトをまとめてNFTという呼称で呼ぶことにしています。
これらのNFTは主にCounterpartyプロトコルを利用してビットコインのブロックチェーン上で発行された物が多く、例えばSpells of Genesisというゲームアイテムのトークン化、ブロックチェーン上のDEXでのトークンの売買、ゲームアイテムとして利用、というコンセプトを世界で初めて考案、実装したプロジェクトは、2015年にイーサリアムのメインネットが稼働する以前からCounterpartyプロトコル上で今のNFTの原型になるコンセプトをすでに生み出していました。
また、ビンテージNFTはただ古いだけでなく、NFTの文脈の中で歴史的意義のあるコレクションである、という認知が去年海外のNFTコレクター中心に広がり、今時点でかなりの高値で取引されているNFTもあります。あまり知られてないですが、実はビンテージ系NFTのOpenSeaの取引金額だけでもすでに120億円相当を超えており、無視できない規模になっています。
日本のビンテージNFTに注目する理由
自分は当時Counterpartyのモバイルウォレットなどのツールの提供、もしくはオーガナイザーとしてルールの設定や作品の審査などを通して、2016〜2017年に生まれた日本のビンテージNFTコレクションに全て関わっていたので、当時起きていたことはよく理解しています。
実は最初期の約20のビンテージコレクションのうち、4つのコレクションは日本発のものでした。Rare Japanese NFTsのサイトはまさにそれらのコレクションに関する情報や歴史を集めたものです。
それから紆余曲折はありましたが自分はこの領域を2017年の後半に離れ、その後特にメモリーチェーンなどのコレクションの歴史の保全活動的なこともしていなかったので、そもそも日本に17年以前にそういうプロジェクトがあった事自体を知らない人がほとんどだと思います。
それから4年ほどたち、去年メインストリームを巻き込む大きなNFTブームが来て、ビンテージ系NFTが海外のコレクターに「再発見」され、日本のコレクションやアーティストに対しても予想外の注目が集まり始めました。
当時はノリで無料で配ったり、他の人と気軽に交換していたカードが、場合によっては一枚数十万円から数百万円相当の価値がつくものも出てきました。元々面白い作品を作ったり、トレードしたりして楽しむことがメインで、お金を稼ぐことを期待する人たちもほとんどいなかったのに、タイムカプセル的に過去の作品がいきなり高値で売買されているというのは、一種の皮肉もきいていて個人的には面白い展開だと思っています。
ただ折角ビンテージNFT(Historical NFTs)という領域が海外のコレクターの中で確立され、Memorychainなどの日本の初期のコレクションが海外のコレクターに評価される数少ないNFTプロジェクトとして今後も歴史に名を刻むポテンシャルがあるなら、せっかくなら今後も最低限のメンテナンスや情報整理をしておくべきだな、とふと思ったのが今回きちんと情報サイトを作り直した主な理由です。
また、現在もビットコインやライトニング関連のプロジェクトを中心に活動している自分にとって、これらのビットコインのブロックチェーン上で発行された日本のビンテージNFTの存在は、ビットコイナーとの親和性も高いですし、今後ビットコインやライトニング支払いで購入できるコレクション用のNFTというだけでなく、長期間に渡り価値を維持するNFT界のSoV的な側面を持つ可能性があるのも面白いと思っています。
NFTのバブルは多くのビットコイナーにはあまり好感を持たれていないですが(気持ちは大いにわかります)、単純な一時的な価格煽りや売り抜けではなく、長期的なコレクショングッズとして投資したり、また予想外に高騰したビンテージNFTの売上の一部を、ビットコインやライトニングの開発コミュニティに寄付、還元する、という発展的な利用価値があることも、自分が今回日本のビンテージNFTの記録をちゃんと残しておこうと判断した理由の一つです。
NFTは冬の時代を生き残れるか?
ビンテージNFTは基本的には純粋なコレクション目的のもので、最新のNFTのように今後色々ユースケースを増やしていきますとか、企業とコラボして積極的に拡大していきます、などそういう最近のNFTのトレンドとは全く異質なものです。基本的にはブロックチェーン上で絶対に改ざんが出来ない初期のトランザクション履歴と当時の歴史記録と初期の作品へのリスペクト要素が価値の源泉ですが、逆説的にそれらの要素だけで特別なことをしなくても年を重ねるごとにむしろ評価され、価値が上がっていく特別なカテゴリになるかもしれません。
逆に言えばNFTのブームは一旦どこかのタイミングでかなり冷え込みますし、大部分のNFTは冬の時代を生き残ることは出来ずに残念ながらほぼ全ての価値を失うと自分は予想しています。
それはビンテージNFTも16年〜17年にハネムーン期でみんながワイワイ盛り上がっていたところから、作品のクオリティが少しづつ落ちていき(過剰供給)、お金や効率目的の人が増え、コレクターに少しづつ飽きが発生して、人が抜けて、取引が減り、価格も下がる、という死のサイクルをすでに経験しているからです。それでもビンテージNFTは幸運なことに奇跡的に復活を遂げて、長期目線の特殊なコレクターコミュニティが去年から形成されましたが、これは半分以上偶発的なもので大部分の新しいNFTコレクションが真似できるものではないと思います。
いずれにせよビンテージNFTが今後もNFTのメインストリームになることは多分ないですが、マニアックかつディープなNFTの世界の一側面ということで、日本でもその経緯や歴史、今後の可能性について興味を持つ人が増えると面白いんじゃないかと思います。本当にNFTが好きな人にとってビンテージ系の話は一種の教養的なものとも言えるかもしれません。
今はほとんど忘れられてしまった当時の界隈の何ともいえない雰囲気や実際にあった出来事、人物など、そういう空気を今も感じさせてくれる味のある名作がたくさんあって、それだけでも楽しいですし、メモリーチェーンは元々「今後忘れ去られてしまうであろうブロックチェーン界隈の歴史を作品にしてブロックチェーンの記録に残そう」というテーマで元々始められたものなので‥
今後の予定
ディレクトリサイトや周辺情報のリソース収集が一段落がついたので、次のステップとして出来るだけ多くの日本のビンテージNFTを市場に放出し、それぞれ適正な市場価格を発見したり、国内外で保有を増やすことで、日本のビンテージNFTコレクションの長期的な生存確立を引き上げていく、という作業を地味にコツコツしていきたいと思っています。
それに伴いアーティストからの寄付などもまた募りつつ、色々なマーケットプレイスに日本のビンテージNFTをリストしていきつつ、海外のコレクターなど向けにもアピールしていく予定です。ここらへんについてはまた別途案内記事を出す予定なので、準備が出来たらまたアナウンスします。
メモチェンドリーム!!!