マニアックワイン会 〜後編〜
みなさんこんにちは。今回は、マニアックワイン会の後編をお届けしたいと思います。前編では、私がオーストラリアやニュージーランドで購入(一部頂いた物あり(笑))した、日本未輸入のマニアックなワインが登場しましたが、後編ではさらにマニアックなワインが登場します(笑)。一体何がマニアックなのか、さっそく見ていきましょう!
ワイン会も終盤に差し掛かった頃、私はあるワインを2本用意しました。そして、ボトルにはアルミホイルを巻いて、このワインの素性を隠した上で2本のワインの飲み比べをしてもらいました。いわゆるブラインドテイスティングです。そして、参加者にはそれぞれのワインの品種、国、そしてヴィンテージを推察してもらいました。すると、品種に関してはどちらのワインも「ピノ・ノワール」と言う意見が大半を占めましたが、国やヴィンテージに関しては様々な意見が出る結果となりました。・・・では、答え合わせをしてみたいと思います。
まず、1本目のワインはこちらの・・・
オーストラリアのタスマニア島にある蔵元「テイマー・リッジ」が造る「ピノ・ノワール 2003」!そして、もう1本がこちらの・・・
オーストラリアのタスマニア島にある蔵元「テイマー・リッジ」が造る「ピノ・ノワール 2003」!・・・って、ん!?・・・そうです、なんとどちらも同じ蔵元の同じ品種の同じ年のワイン、つまりまったく同じワインなんです(笑)。
さて、さすがはワイン好きの方々とあって、品種に関しては見事に正解されました。しかし、国やヴィンテージに関してはまったく同じワインにも関わらず、みんなバラバラの答えとなってしまいました。それは一体なぜか?実は、そこにこのワインのマニアックさがあるのです!そのヒントは・・・「2003年」です。では、さっそく種明かしをしていきたいと思います。
今回の2本のワイン、確かに中身はまったく同じワインですが、実はある部分に違いがあるのです。まずは1本目のワインをご覧ください。
こちらが1本目。そして・・・
こちらが2本目です。・・・おわかりになりましたか?そうです、このワイン・・・
1本目はスクリューキャップで、2本目はコルクなんです!つまり、同じワインでも打栓方法に違いがあったのです(笑)。
そもそも、ワインの打栓は基本的にはコルクかスクリューキャップかのどちらかに統一されるものです。しかし、ちょうど2000年代初頭はスクリューキャップが登場し始めた頃だったので、スクリューキャップの導入に積極的だったオーストラリアの蔵元の中には、このように半分をスクリューキャップで、もう半分は従来通りのコルクでと打ち分けた時期がありました。それが「2003年」だったのです!
そしてそれ以降になると、全量をスクリューキャップで打栓するようになったので、打栓違いの同じワインはほぼ存在しなくなりました(元々スクリューキャップをほとんど使用していないフランスなどのワインには、打栓違いの同じワインはおそらく存在しないはずです)。つまり、このワインはスクリューキャップとコルクの両方が揃って、初めて超マニアックなワインへと変貌するのです(笑)。
さて、マニアックなワインの素性はわかりましたが、では一体なぜ味わいに違いが出たのでしょうか?・・・それは、コルクとスクリューキャップでは酸素の透過率に違いがあるからなんです。一般的にコルクの方が酸素を通しやすいので、長い目で見れば酸化による熟成のスピードはスクリューキャップの方が遅くなります(コルクの方がスクリューキャップよりも瓶内に存在する酸素の量(空間)が少ないため、最初はコルクの方が熟成はゆっくり進むとも言われていますが)。
そのため、コルクのワインの方には枯れた果実やタバコの葉のような酸化熟成由来のニュアンスがはっきりと感じられるのに対し、スクリューキャップのワインにはまだ水分を含んだような果実のニュアンスが感じられるのです。実際、今回の試飲でもスクリューキャップのワインの方がコルクのワインよりも若いと言う印象を持った人が多くいました。・・・ちなみに、どちらのワインが好みかと聞いたところ、スクリューキャップのワインの方が好みだと答えた人の方が多かったです(私も(笑))。ただ・・・
最後に豆腐と茄子の揚げ出しが出されましたが、これには熟成が進みカツオ節のような出汁感が感じられるコルク打栓のワインの方が良く合いました!いずれにせよ、スクリューキャップとコルクでは熟成による味わいの変化に違いが出る事を体験出来たので良かったです。
いかがでしたか?終始マニアックなワイン会でしたが、一通り無事に終える事が出来てホッとしました。きっと、普通だったらこんなマニアックなワインだけじゃなくて、有名なワインも飲みたいってなりそうですが、参加者もみんなマニアックなワイン好きだったので助かりました(笑)。・・・実は、まだまだマニアックなワインを持っているので、また機会があればお披露目してみたいと思っています、ぜひお楽しみに(笑)。