バイオフィリア第0侯 Vol.3  〜希望と旅たちの春

バイオフィリア第0侯 Vol.3 〜希望と旅たちの春

「希望と旅たちの春」 

それから少しするといよいよ! 私が1年 の中で1番 ワクワクする大イベント、 分蜂(ぶんぽう)の季節 である春がやってきます。 分蜂とは、古い女王が新しく生まれた女王に巣箱を譲り、 約半分の働き蜂と共 に新たな巣となる場所を求めて冒険の旅に出ることを言います。 私はその分蜂群に気に入ってもらえるよ うな、居心地の良い巣箱を用意します。 蜜蝋を塗って、巣箱を焼いて、まるで森の木のような、その中に は蜂が住むのにちょうど良い空洞があって、好物の蜜の香りとともに蜜蝋の香りがほんのり漂う、なんと も心地よさげな。 ---- そんな巣箱を用意しよう! 自分がミツバチになったと したらこんな場所のこんな家に住みたいな、なんてことを想像しながら。春の 風が吹く頃、爽やかな晴天の日に手ぬぐいを頭に巻いて巣箱の準備に勤しみます。 車庫の棚からその年に使うであろう数の巣箱をいく つか持ってきて掃除をし、ミツロウを塗って焼いてい きます。 下台と呼んでいる巣箱の1番 下になる台は、捕獲用と普段用の二つを用意します。 私は何種類か違う形状 の巣箱を持っています。 セイヨウミツバチによく 使うタイプ のもの、近所の大工さんに作ってもらったも の、りんごの箱で作ったものなど様々。でも結局、一番年期の入った巣箱がお気に入りで、大概毎年その 巣箱を車庫の奥から持って来るのです。そし て、たくさ んの巣箱を地面に広げ天日干しをし、蜜蝋をぬりバーナー で炙って、冬を越した巣箱の湿り気を飛ばし時には、からの巣箱のなかで冬を越したスム シ(ハ チノ スツヅリガ)と格闘しながら。ミツバチたちが気に入り、 無事に巣箱で暮らしてくれ たなら、家賃と して年に一度蜂蜜を少しだけ頂くのです。 それがわたし とニホン ミツバチとの関係です。 ------ ニホン ミツバチと暮らすとはそういうこと。2005 年、ニホン ミツバチとの関わり方を、私は師匠 からそのように教えていただきました。 「養蜂業じゃないな。不動産業だ!わっはっはっ。」 今でもミツバチと私の関係はその頃と変わりません。 私が何者かを説明するとき「養蜂家」という言葉は都合がいいのです。 しかし、ちゃんと 向き合う必要の あるとき「養蜂家」という言葉と私という存在の違いをしっかり理解してもらうところから始めようと思 います。 私は所謂「養蜂家」ではありません。ただの「ニホン ミツバチと暮らす人」です。 私は「養蜂家」と「養蜂業」についてこのように考えます。 「養蜂家」はニホン ミツバチを「飼育できる 生き物」と捉え、趣味としてニホン ミツバチを飼っている「と思っている」人。 「養蜂業」は、生業として蜂と携わり蜂蜜の販売をして生計を立てる仕事。

------- セイヨウミツバチを使った「近代養蜂」でセイヨウミツバチを飼育し、蜂蜜を採ることを養蜂業だ と思っています。 ニホン ミツバチが野生の生き物である以上家畜という概念から外れる存在と捉えなければならないと感じ ました。 

つづく

 

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山奥の地元でニホンミツバチと暮らす人たちです。

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