渡江淵の四つ目の大蛇

渡江淵の四つ目の大蛇

《渡江淵の四つ目の大蛇》
(わたらいぶちのよつめのおろち)
The Four-eyed Serpent of Watarai-buchi Abyss Under the Watarai-bashi Bridge Over the Chōmeiji-gawa River

▼参考記事
「伊吹弥三郎の岩屋と井明神社 : 姉川を生き、妹川に没した、伊吹山の水竜鬼の生と死」

  • 4. 伊吹弥三郎が「死んだ場所」: 妹川(高時川)(井明神社)
  • 4–5. 井明神社の祭神は誰なのか?
  • 4–5–4. 「渡江淵の大蛇」説

▼『近江輿地志略』巻之五十五「蒲生郡第二」

昔、此(この)橋下(はしのした)に大蛇(おろち)棲止(せいし)して往来の人を悩す。郷民(ごうみん)、之(これ)が為(ため)に苦み、狛長者(こまのちょうじゃ)、及(および)、敦実親王(あつみしんのう)に此事(このこと)を告ぐ。両将(りょうしょう)、諾(だく)して佐々木社(ささきしゃ)に参籠(さんろう)して此事(このこと)を祈るに、あらたかに霊夢を蒙(こうむ)り、彼(かの)橋上(はしのうえ)に到るに、大蛇(おろち)水上(みずのうえ)に浮び出(い)づ。両眼(りょうのまなこ)、日月(じつげつ)の如(ごと)く、其(その)影(かげ)、水に映(うつ)りて眼(まなこ)四(よつ)あるが如(ごと)し。敦実親王(あつみしんのう)、弓矢を取りて件(くだん)の眼(まなこ)を射(い)て遂(つい)に蛇(くちなわ)を滅(ほろぼ)し、件(くだん)の蛇(くちなわ)の霊(たましい)を祭りて神とす。今、橋の傍(かたわら)の社(やしろ)是(これ)なり。さて、彼(かの)四の眼(よつのまなこ)を射(い)るの故(ゆえ)を以(もっ)て佐々木(ささき)京極(きょうごく)の家紋を四目(よつめ)とするは、此謂(このいい)なり

(出典: 寒川辰清 [編集], 小島捨市 [校註], 宇野健一 [改訂・校註(新註)], (1976年), 「渡會橋」(渡会橋), 「北庄村」, 「蒲生郡第二」, 「巻之五十五」, 『新註 近江輿地志略 全』, 弘文堂書店, 671~672ページ.)

▼『近江伊香郡志 下巻』第九章 第一節

文永(ぶんえい)八年、大旱(おおひでり)す。佐々木頼綱(ささきよりつな)、領民(りょうみん)に令(れい)して、諸(もろもろの)井水(せいすい)の口(くち)に、大蛇(おろち)の霊(たましい)のなす所なりとして、神霊(しんれい)を祀(まつ)らしむ。井之明神(ゆのみょうじん)と号す。頼綱(よりつな)の臣(しん)、東条経方(とうじょうつねまさ)、蒲生郡(がもうぐん)佐々木神社(ささきじんじゃ)に祈りて神告(しんこく)を受け、頼綱(よりつな)と共に家伝の征矢(そや)を以(もっ)て大蛇(おろち)を伏(ふ)し、旱害(かんがい)を止(とど)めしによってなり。経方(つねまさ)の子孫、皆、井口姓(いのくちせい)を称す。

(出典: 富田八右衛門 [編集] (1983年) 「井之明神(井口)」, 「北富永村」, 「第一節 神社誌」, 「第九章 社寺編」, 『近江伊香郡志 下巻』, 弘文堂書店, 327-328ページ.)

《渡江淵の四つ目の大蛇》
(わたらいぶちのよつめのおろち)

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