Vitalik Buterin や Audrey Tang が見据える自由民主主義の未来
こんばんは!MissBitcoin Maiです。このブログでは、Asia Blockchain Summit 2020 の締めで行われたテクノロジー業界の最先端をいくメンバーによるパネルディスカッションをまとめました!
個人的にAudrey Tangさんは素敵な人だなぁと憧れを抱いてまして..なので、このsummitに出られるって聞いた時にとても嬉しかったのですが、我らがVitalik とのセッションと聞いて待ちきれませんでしたー!個人的に1番楽しみにしていたセッションです。思考実験や検証という段階を越えて、テクノロジーを活用した新世代の多様な自由民主主義の時代が到来しつつあると感じました。見逃した方、お楽しみ頂けると嬉しいです!!!
民主主義の重要性について、それを強く感じる環境にいる台湾の Audrey Tang は、技術がどのようにして人々の分断を越え、安心できる社会を構築できるのかについて語りました。
Audrey は、民主主義もまた人類が生み出したテクノロジーであるとし、投票という行動によって改善していく事ができると解きました。多くの人が参加して改善されていくプロセスは、オープンソースソフトウェアの世界に通じるものがあり、その中ではコミュニティーの分断ではなく、共通の認識によって問題に取り組んでいく事が重要になります。
また、台湾といえば、新型コロナウイルス感染症の流行からいち早く脱却できたことでも注目を浴びました。その中心にいた当事者である Audrey は、民主的社会において困難な状況に立ち向かうために重要なことを語っています。
Audrey は、Fast、Fair、Fun が鍵だったと振り返りました。
Fast は、リアルタイムに情報を集め、改善を実施するまでのサイクルを早めることを意味します。情報を集め、それを即座に開示することで、政府と市民の信頼関係を高めていくプロセスが欠かせないことは、すでに多くの方が体験していると思います。台湾はアジアでも最も開かれた社会であり、政治的発言や報道に対しても公正であるため、多くのアイデアを集める事ができ、知識を集約する事ができたとのことです。だからこそ都市封鎖を避ける事ができたという言葉には、説得力があります。
また、必ずしもハイテクノロジーが必要では無いという言葉は、意外でした。人々が安心して使えるクロノロジーである事が重要であり、石鹸やマスクといったテクノロジーを最大限に活用する事が功を奏したという事です。これは台湾において、電話による伝染病予防ホットラインの設置が有効に機能したことにもつながります。例として、学校にピンクのマスクをして行き友達に笑われた子供からの相談を受け、翌日の医療対策チームの記者会見では関係者が皆ピンクのマスクをつけて勇気を与えたというエピソードが出ました。信頼をベースにした迅速な対応があれば、電話やテレビを使っても、社会にイノベーションは起こせるのです。
Fair では、世界中で話題となった、マスクの均等配布のための共有台帳システムなどが例として挙がりました。平等性を担保することは、信頼関係の確立には欠かせないのです。それがあったからこそ、パニックを抑える事ができたとのことです。
そして Fun では、Humor Over Rumor のキャッチコピーを紹介しました。パニックを煽るような信憑性のない噂が飛び交っても、それをユーモアで乗り越えたという事例の紹介でした。インターネットを使って、噂に対して、ユーモアも交えながら真実を発信し続けたことで、ストレスフルな状況で怒りにかせた罵り合いやパニックが起こる中でも、人々が笑いながら正しい情報を共有する事ができたという事でした。
Vitalik は、データや金融のみならず、社会のあらゆるシステムの民主化を目指している人物として、その視点からみる現在の課題と挑戦を語りました。グローバルな社会環境において、もっと人々の意思判断のプロセスを民主的にしていくには、どうすれば良いのでしょうか。
複雑な問題が絡むため、シンプルな回答はないとしつつも、Vitalik は自身の取り組みを語りました。デジタルエコノミー社会は、これまでと違う環境が前提となっています。長期に渡ってどのように変容していくかを思考し、そこに向かって現時点で対応すべきことを絞って進めていく必要があるのです。
資本主義や民主主義が抱える問題の解決には、時間と多くの挑戦が必要ではあるものの、すでに様々なアイデアがあるのも事実であると、Vitalik は説明をしました。
例えば、社会問題可決のため、Quadratic funding という取り組みがあり、今それを試みているとのことです。Quadratic funding の概念は複雑ではありますが、それは、多くの資産や権利を持った者が無条件に有利に市場を独占できないようにするメカニズムを取り入れた、資金調達のモデルです。寄付プロジェクトなどで集めた資金をどのプロジェクトに投下すべきかを決定する場面で、意思判断の権限の一極集中を避けて、より公正に、参加した人々が享受できる報酬を分配できるようにする仕組みです。
このように、世界では様々な挑戦が試みられて、実際に成果を出しています。日本の社会も、多くを学び、この流れに追随して発展に寄与できることを願わずにはいられません。
このセッションでは、そのほかにも、AI が与える社会への影響などについても議論されました。
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