いろいろやりたくないスイカ栽培

いろいろやりたくないスイカ栽培

園芸で夏野菜の売上が1番はたぶんミニトマトですが1番人気があるのはスイカです。そのスイカを実際栽培したことのある人はあまりいないんじゃ無いでしょうか。理由はやろうとすると「難しい」「できない」と言われるのが多いからだと思っています。でもやってみたくなるのがスイカです。

そんなスイカ(大玉)の栽培について素人の園芸レベルですが紹介しようと思います。スイカ栽培は準備の段階から考えると多くの地域では早くて3月から始まりますので、オフシーズンの今が記事としてちょうどいいタイミングかと。

スイカ栽培の急所

  1. 栽培適地

  2. 肥料の確保

  3. 摘心

  4. 結実させる位置

  5. おまけ(虫対策と水やり)

1と2が畑の準備で3と4が定植後の作業

基本的な栽培方法は種苗会社のネットに載っている方法で充分です。しかし栽培時の細かい部分はさすがにネットには載っていませんのでその辺りをフォローできたらいいなと思っています。

私のスイカ栽培は準備が9割で植え付け以降は1割だと思います。植え付けしてからは力仕事がなくなります

1. 栽培適地

植え付け面積に草対策に雨対策

スイカの栽培面積はナスやトマトなどと違って相当面積を必要とします。実際1つの苗に対して1m × 2m以上が基本面積です。この広さはトマトの苗なら4つ植えれるほど広いです(しかもトマトは縦に伸びるので収量はなかなかありますね)。スイカはウリ科植物であり、ウリ科植物は水平に根が広がりますので十分に根を這わすにはこれくらい必要なのでしょう。

緻密(1m×1mとか)に植えると小さくて甘くないミニスイカが出来るだけでやらない方がいいです。

植え付け後の管理を兼ねて黒マルチを敷いておくべきです。植え付けしてからの雑草対策はマルチをしていないと梅雨明け以降は地獄の手作業になります。

これは一例ですが通路もマルチングでカバーすると雑草の発生をかなり抑えられます。雑草と乾燥対策でビニールマルチはかなり役に立ちます

畝を立てるかどうかは意見が別れますが個人的に畝は必要だと思っています。大雨が続いた時に排水性を向上させる手段として畝が一番優秀で、まともに冠水したらウリ科植物であっても枯れる可能性もあります。最近は大雨になることが多いですね

日当たり

スイカは日光を必要とすると栽培方法でよく言われています。実際ほぼ日陰ではつるが成長しませんので自ずと実を期待できません。では朝から日没まで完全に日が当たらないといけないのか?というとそうでもなく、これまでの経験では朝から午後2時くらいまで日が当たれば十分成長してきました。日照時間の限界はどの辺にあるだろうか?

栽培適地の条件として人の手で変えられないのは日当たりです。他は改良することで家の庭でもスイカの収穫は十分に狙えると思います。

2. 肥料の確保

スイカはよく肥料食いだと言われます。実際肥料を大量に投入しています。多いかな?と思って入れても足りなかったという経験があります。追肥も何度かやりますので追肥では化成肥料の出番です。追肥においては化成肥料の良さが全面に現れます。

施肥量についてはタネやがネットで載せている一般的な数量でOKです

追肥は化成肥料を結実してから気分きままにパラパラっと撒きます。そんなんで効いてんの?と不安になりますが作業は簡単な方がいいんです。そのパラパラと撒く行為には理由があり、株元にだけ大量に化成肥料を撒くと高浸透圧による肥料灼けが起こるのを予防するためです。

さらに株元に撒くより根の先端側に撒く方が吸収が良い点もありますのでパラパラとテキトーに撒くのがたぶん正解です。昔懐かしく言うなら「これが定説です」

ちなみに追肥は元肥が多い場合は不要です。どんどん楽をしましょう

肥効についてですがパラパラ撒いた肥料は雨や灌水を受けます。しかし追肥として黒マルチの内側に処理した肥料は水を浴びないためか、分解されずにニート状態を維持します。これはおそらく肥料として仕事をしていないと思いますので肥効を得るには少し水を意識する必要があると思っています。

では初期にマルチングをして元肥として混ぜ込んだ肥料はどうなるのかと考えると、4月頃に仕込むと6月の梅雨で必ず水を浴びますから確実な肥効が得られてるんじゃないのかなと思います。

家庭菜園程度の園芸は農業と違いテキトーに化成肥料をぶん撒いてるのが正しい世界なのです。

どうでもいい話ですが鶏糞を超大量に入れてマルチングをすると分解熱なのか次の日から地温ががガンガン上がり、マルチング越しに触ると妙に暖かいです。そしてハサミでそのマルチングを破ると超おそろしい💩臭いが。。常識の範囲内の量によりますが鶏糞ならそれでも植え付けることはできます。

3. 摘心

植え付け後の唯一に近い処理は摘心。これをやらないとスイカは収穫できないほど重要です。きゅうりと違って1回だけやります。

ウリ科の摘心は共通して最初は5節、6節付近です。4節で摘心を試したことがないので分かりませんが、7節や8節になってから摘心しても問題ありません。摘心をすることによって子づるがどんどん伸びてきます。手がつけられない程に子づるが伸び、それが結実のチャンスにつながるので摘心は必ずやりましょう

ピンクで囲まれた部分のツルみたいなのが摘心によって伸び出した子ヅルです。親ヅルよりはるかに成長力があり摘心はマジで必ずやりましょう。この段階になると管理はかなり楽になりウリハムシ被害よりスイカの成長速度が上回るはずです。

4. 結実させる位置

スイカ栽培方法がネットに載っている内容で、実をつける場所は◯節から◯節の間、、などと書いてあると思います。これをおおまかにいうと根本より遠い部分で結実した方が大きくなります。

先端側の実が大きくなるようにするとデカいのが収穫できます。もし割と手前で結実した場合はできるなら摘果し、子づるの先端側で結実するのを待ちます。しかし勿体ないと思ったり情が湧いてしまったらその限りではありません。

これくらい繁茂して絡まり出すともう手をつけません。そして勝手に結実してしまうので子づるの先端はどこなのか分からないです。あとはもう放任

「3」と「4」の作業は「1」や「2」に比べると全く重労働ではありません。ただ摘心をしたり少し遠めで結実したかな?と観察する程度です

5. おまけ(虫対策と水やり)

ウリ科の虫対策の極意は補殺

スイカやきゅうり、メロンのウリ科には特有のウリハムシたちがやってきます。このウリハムシはきゅうりとメロンでは死活問題で、スイカは農薬無しでも解決できる場合が多いです。スイカの葉っぱはきゅうりやメロンより硬いのでウリハムシに好まれにくく、「3」の摘心の後に子づるが伸びて葉っぱの絶対量が増えるとウリハムシの影響は無くなります。

ウリハムシは園地内にウリ科植物があると満遍なく葉っぱにくっつきます葉の裏にもいます。そこでスイカ、きゅうり、メロンを同時に栽培するとメロンが一番狙われやすく、次にきゅうりの被害が大きいです。スイカしか栽培していないとスイカにもつきます。

ウリ科植物にとって問題になるウリハムシに手を焼いてしまい、毎年メロンやスイカが収穫できない場合はアルバリンという農薬の使用を勧めます。ウリ科植物とアルバリン使用の相性は良く、ウリハムシを退治する時期と収穫の時期が完全にかけ離れているので納得の逸品です。

ただしアルバリンは薬効の出現にタイムラグがあるので「やべー」と思った時にはすぐ使用するべきです。判断が遅いとどんどん葉っぱや芽が被害に遭うので悩みどころかもしれません。

アルバリンはウリハムシの対策に有効です。それでもウリハムシを見つけたら補殺して目の前の被害を止めるのがベストです。基本的にウリハムシは人間に見つかると地面にボトっと落ちてゴロゴロしてるやつが多く処理しやすいはずです。まぁ、たまに高速で飛んで逃げていくやつもいます。

日当たりと風通しが良ければスイカは他の虫被害は無くウリハムシ被害だけ注意するだけのはずです。ただしダンゴムシが大量に発生する場合は気をつけるというか、苗をボロボロにされるかもしれません。ダンゴムシ被害は起きてからの対策は有効なものが無いので補殺するだけです。大量発生したらやってられませんが

水やり

水やりは定植時期の1週間は確実にやり、これをやらないとマジで枯れてしまいます。定植以降はマルチングをしていると水やりがズボラでも育つのと、マルチングをしていなくても割と自力で水を吸い上げているようです。しかし大玉で甘いスイカを作るのであれば水やりは大事で、晴れの日は水やりをしてあげましょう。

水が足りてないかどうかの判断はツルが地べたに這いつくばり、葉っぱがヘターっとなります。ある程度成長するとすぐに枯れることはないので、こういう状況になっていたら水やりをすることでまだ何とかなるはずです。

収穫適期

大玉スイカは受粉から約50日といわれますが真面目にこれを実践すると早熟なスイカを収穫する可能性が高いです。これは受粉した日にちを正確に決定できていないからじゃないかと思います。

ベストな収穫時期は毎日スイカを軽く叩き高めで良い反射音だったのが、低めの鈍い音に変わる頃に収穫しています。音が変わった気がするけど早いかな?と自信がない場合はその日から1週間くらい遅くに収穫しても大丈夫です。それくらいの猶予期間はあります

左の画像は6月17日で右は6月19日です。ツルが伸びまくりで水やりをするだけの生活

左は6月24日で右は6月26日です。着実に大きくなっていってます

これは7月17日の画像ですがこれより1週間前から一気に成長してきます。ここで問題になるのが大雨が続くとスイカが割れることです。広く根を張ると雨水を多く吸い上げてそれをスイカへ送り込もうとします。その送り込む量よりスイカの成長が負けると破裂してしまいます。どうやら協調制御のような機能がないようです

水の管理がここで問題になるのでマルチングを敷いたり土にウッドチップを混ぜ込むのがここにきて役に立ってきます。

予定より早く7月17日の段階で収穫しました。カラスがスイカを狙って次々に穴を開けてしまったので仕方なく収穫です。11kgでした。

玉回しをしないと底面が黄色いままです。黄色い部分は緑色の部分より強度が低いので気をつけないといけません。でも黄色いと素人くさく見えるので自分で作った感があって好きです。

スイカは中心寄りの種の周りが甘く、外側にいくほど甘味は少しずつ薄れます。

収穫がかなり遅れると種を中心に砂っぽい食感になり、かつ甘味が無くなります。

逆に収穫が早過ぎると実が小さいだけでなく、中は白っぽくて食感は硬くうすい甘さです。スイカの専門家ではないのでハッキリとした事は分かりませんが種から糖質の分解酵素が誘導されてスイカの熟度を左右しているんじゃないかと思います。

スイカは追熟しないのでとったらどんどん食べていきます

種について

普段購入しているスイカの種ですが奈良のナント種苗の羅皇(らおう)にしています。栽培時にトラブルになりにくく丈夫で超大玉かつかなりおいしい品種です。

種からの栽培は正直簡単ではありません。温度と水の管理が難しく慣れていないと失敗したのかどうかの判断がつけにくいので、やり直しするにも何が良くなかったのかを見つけるのも難しい点もあります。

ただこの羅皇は人気が出てきているので園芸店や種苗店で苗を販売している可能性があります。静岡では園芸店が仕入れていたのを見たことがあります。

野菜の種は短命型と長命型に分かれていてスイカの種は長命型です。冷蔵庫で保管しておくと5年くらいは保つそうです。種は水がかかると内部で色んな反応が始まりその後自滅してしまうので保管時は水分厳禁です。

ちなみに私はこのナント種苗の商品が好きで大根やとうもろこし、トマトも買っています。

いろいろやりたくないスイカ栽培ですが始める前の考える段階でほぼ収穫が決まると思っています。労力は他の野菜に比べ思ったほど要らないなーと

スイカは何年やっても実がつくとわくわくしますので、興味が湧いたらぜひ!

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