さよならの儀式

さよならの儀式

もの悲しいことをあんまり口にしないようにしていますが、今日は特別ゆるそうと思いブログを書きます。家の隣にある河川敷に父が勝手に植えた木が明日切られてしまうので、さっきお別れの挨拶を木々たちにしてきました。

「おじい(88)が死んだあとこの道にええ木陰ができる。」と世話をしていたのを私はしっていて、最近は近所の佐々木のおばあさん(90以上)もおじいが植えた木々のまわりを掃除するようになり、この組の長老二人が別に話し合ったでもなく何か私たちにはわからない同じ時代を生き抜いた長老二人に芽生えたシンパシーのもと同調したかのようだった。それは個々の意思によって行われていてつるんでやっているわけではない。私はそこになんとも不思議な私には見えない次元があるように思えてきて。でも、そこは公共の河川敷で、いまの常識で生きる人たちには、そんな物語があることは見えないし通用しないらしい。河川敷は、山からの鉄砲水など氾濫によって被害が及ばないようにつくってあるわけで、常識的な方々からすれば、木が倒れて余計氾濫するという方向に思考が向かうようです。(実際そうかもしれないし、可能性はある)しかし、ほんとうにそうなのか?長老二人がそろって世話をするということは一体どういう意味があるのか、という想像をしても良いではないかと私は思う。物のいい悪いを決めるためと言うより、もう少しそこに興味をもったらよりいろんな意味で豊かに思える。こんなお伽話のようなきれいごときっと鼻で笑われるのかもしれないのですが、木は私たちとおんなじで生きていて、もし毎日、おはようの一言でも話しかけたら、鉄砲水が襲ってきたとき、身を挺して守ってくれるかもしれないと私はほんとうに真剣に思うのです。それではダメなんだろうか。あんまりこんなことを言うと怒られそうですが、どちらの方が安全かなんて神でもないのにわからない、かもしれない。実際地元白鳥の大島地区にある尋常小学校跡地には立派な赤松並木があって父はそこの話を懐かしそうにするのですが、きっと、家の隣の道をあんな感じの松並木にしたかったんだろうと思います。松並木になった頃は自分はこの世にいないのに。なんのためによ、じいさん。こうやって話を書いているとなんだかうちの父は素敵な人のように思うかもしれませんが、私は父がそこまで好きなわけではない(笑)私のことをめちゃくちゃな人間だというし、何をやってもお前は頭がおかしいという。しかし、私はいっつも思うのです。あんたには言われたくないわと。ついこの間も長年使ってきた用水路を市が勝手に工事をして止めてしまい水が流れなくなったためトンカチで割って水を流れるようにしてしまう破天荒で、私のことが言えるのかと聞いてみたいところだが、やっていることはそんなに嫌いではない。

・・・そんなことで、私は河川敷に父が植えた木々たちに、みんなが寝静まった深夜を見計って、もうすぐまん丸になりそうな月の下、一本一本とお塩とお酒を振る舞ってお別れの儀式をしました。毎日、神棚のお水を変えるときみんなの横を通って川のお水を汲んで私はそこにいる赤松や桃、もみじたちに挨拶をするのが日課だから、今日のことを書き留めておこうと思いました。

かくいう私も人のことは言えない、今日は草刈機を使って圃場の草刈りをしました。なるべく足で虫たちを逃してから刈りはするものの、焦って逃げ惑うカエルやバッタの姿を見るとかわいそうになって、結局カマを使うことにするんですが、多かれ少なかれ私も殺生をしている側には違いがない。

・・・今日はヤブ蚊が出る日没まで頑張ったせいで、顔中刺されてボコボコで、草刈機のおかげで腕の感覚がおかしくて、夕飯も食べづらかった。でも仕方がないのです。私はそれ以上のことをしているのだろうと思います。

明朝間に合えば小さな木だけでも植え替えてやろうかと思うので、今日はひとまず就寝。翌朝、日の出前に一人スコップ持って頑張ってみる。やっぱり大きくなってしまった木は無理で、小さな桃の木だけ掘り起こすことができました。私はその他の木にお礼をして、どうかこの小さな桃の木に木霊としてのっかって別の安全なところに一緒に行こうと告げました。

追記多分昔はあったと思われる畏敬や畏怖の念という感覚で身の回りの選択をして行ったら、今ある環境は一体どんな風景に変化していくのだろうと、おじいと佐々木のおばあさんをみて思いました。(なんでもかんでもきらなければいいという話をしているのではありません。)

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山奥の地元でニホンミツバチと暮らす人たちです。

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