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季節外れのあのワインで一杯
みなさんこんにちは。先日、友人から私に「どうしても今飲みたいワインがあるんだ!」との連絡が入りました。どうしても今飲みたいワインって一体何だろう、・・・もしかして、またギャンブルワインか(笑)、などと想像を膨らませながら、友人宅のガレージに行きました。すると、そこに鎮座していたのはまさかの・・・
ボ、ボジョレー・ヌーボー!?・・・ヴィンテージは2024年なので、去年(正確には約3か月前)のもののようです。しかも、あの有名な「ジョルジュ・デュブッフ」が手掛けるボジョレー・ヌーボーではありませんか!ちなみに、「ジョルジュ・デュブッフ」とは・・・
1964年にボジョレー地区に設立されたワイナリーで、創設者であるジョルジュ・デュブッフ氏は、誰にも真似できない独自のセンスと類い稀な鼻と舌の感覚を持つ醸造家でした。そして、ボジョレーを愛する彼は、当時地元やリヨンだけで飲まれていた「地ワイン」を世界へ広めようと考えたのです。そのきっかけとなったのが「ボジョレー・ヌーヴォー」でした。彼は、卓越したその味覚とセンスを用いて理想的なボジョレー・ヌーヴォーの味わいを造り上げ、解禁を味わう愉しみを宣伝することで、世界にボジョレー・ヌーヴォーの名を広めました。
つまり、日本でここまでボジョレー・ヌーヴォーが浸透しているのは、彼のおかげなのです。また、いわゆる「ボジョレー・ヌーヴォーらしい華やかでチャーミングな味わい」も、彼が造り上げたものでした。そのため、彼は別名「ボジョレーの帝王」とも呼ばれています。
それはさておき、一体なぜこのタイミングでボジョレー・ヌーヴォーだったのか聞いてみると・・・「某ディスカウントショップで1,100円で売られていたから」との答えが(笑)。なるほど、確かにヌーヴォーは解禁時期が終わると売れなくなる傾向が強いので、このように定価よりも値引きされていることが多々あります。・・・ということは、ある意味これもギャンブルワイン的な要素を持っているわけですが(笑)、それ以外の理由として「ヌーヴォーらしいヌーヴォーを久しぶりに飲みたくなったから」とも言っていました。・・・これは一体どういうことかと言うと・・・
ここ数年、私達が解禁日に飲んでいたのは、当店で取り扱っているこちらの「ドメーヌ・ド・ラ・マドンヌ ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー」でした。このヌーヴォーは、ヴィラージュ(ワンランク上)であることや、通常のワインと同じような造り方をすることによって、非常にしっかりとした深みのある味わいに仕上がります(これはこれで非常に美味しい!)。
・・・ただ、いわゆる一般的なボジョレー・ヌーヴォーのイメージとは若干違うスタイルでもありました。そこで、久しぶりに「私達の原風景にあるあの懐かしいボジョレー・ヌーヴォーが飲みたい」と言う気持ちになったんだそうです(笑)。・・・なるほど、そういうことなら、このジョルジュ・デュブッフのボジョレー・ヌーヴォーはぴったりです!それでは、さっそく・・・
いただいてみることに!グラスに注ぐと・・・あの華やかな香りが広がってきました!お~、これこれ!・・・と最初は思ったのですが、一口含んでみると・・・味わいは思っていたのと違ってややバランスが悪い印象でした。そこで、まずは恒例の・・・
ガレージ内温度をチェックすることに。すると、そこには約13℃の表示が。ちなみに、ヌーヴォーは軽めのワインなので14~16℃ぐらいが適温とされています。なので・・・
軽くストーブで温度を上げつつ、外観をチェック!明るい紫色のニュアンスがある中程度のラズベリーレッドで、ヌーヴォーらしい鮮やかな色合いが良いですね。そして、温度が適温になり再び味見をしてみました・・・が、それでもなかなか良い状態にはなりません。・・・もしかして、この3か月で劣化してしまったのかも!?などと心配していましたが、私はあることに気付きました。それは・・・
スクリューキャップ!スクリューキャップは、気密性が高い分、瓶内が酸素不足(還元状態)になりやすい傾向があります。そこで、グラスをスワリングさせながらもう少しだけ時間を置いてみると・・・
あの華やかな花の香りや、イチゴのようなベリー系の香りがさらに鮮やかに立ち上がりました!そして、味わいも口当たりが柔らかい印象になり、チャーミングな果実味とエレガントな酸味がバランス良く感じられ、まさに「原風景にあるあのボジョレー・ヌーヴォー」が蘇りました(笑)。
いや~、久しぶりに「ザ・ボジョレー・ヌーヴォー」と言えるヌーヴォーを飲みましたが、これはこれでやっぱり好きな味わいなんだよな~。みなさんの原風景にあるボジョレー・ヌーヴォーはどんな味わいですか(笑)?きっと、我々日本人の心には、このジョルジュ・デュブッフのボジョレー・ヌーヴォーの味わいが刻まれているはずですよ(笑)。
そんないいボージョレ・ヌーヴォーなのにスクリューキャップなのォ!?納得いかない、コルクやろそこは!
素人の叫びでした