ビットコインがデジタルゴールドとなるために

ビットコインがデジタルゴールドとなるために

デジタルゴールドと呼ばれるビットコイン。

金と性質が似ていることから、このように呼ばれていますが、果たして現段階で既にデジタルゴールドとして機能しているのでしょうか。

2020年末から機関投資家による参入が相次ぎ、ビットコインの価格が急激に上昇しています。2021年3月6日現在では525万円の価格で取引がなされており、投資家から多くの注目を集めています。

2021年2月には電気自動車メーカーであるテスラがビットコインを購入し、市場を驚かせました。テスラのIRを見ると金や金ETFなどの資産が候補となる中、ビットコインを購入したと記載されています。

- tsla 10K 2020/12/31 -

In January 2021, we updated our investment policy to provide us with more flexibility to further diversify and maximize returns on our cash that is not required to maintain adequate operating liquidity. As part of the policy, which was duly approved by the Audit Committee of our Board of Directors, we may invest a portion of such cash in certain alternative reserve assets including digital assets, gold bullion, gold exchange-traded funds and other assets as specified in the future. Thereafter, we invested an aggregate $1.50 billion in bitcoin under this policy and may acquire and hold digital assets from time to time or long-term. Moreover, we expect to begin accepting bitcoin as a form of payment for our products in the near future, subject to applicable laws and initially on a limited basis, which we may or may not liquidate upon receipt.

金は安全資産と言われています。一般的には不況や紛争などの地政学リスクが高まった時にリスクの高い株式や金融商品は売られ、金が購入されるからです。つまり、金は株式と負の相関(株式が上がると金の価格が減少する、逆に株式が下がると金の価格は上昇する)にあることが大きな特徴と言えます。

ビットコインが金を代替するデジタルゴールドとなるためには、金と同じようにリスク資産をヘッジする相関を持っていることが必要になります。また、それだけでなく大口の取引を行っても時価の変動がある程度吸収できるほどの時価総額があることも条件となります。

時価総額の例:

時価総額が100万円の場合:20万円分を売却すると市場の20%に影響がある。

時価総額が1,000万円の場合:20万円分を売却しても市場の2%にしか影響がない。そのため、時価総額が大きい方が価格が安定する。

ビットコインと金の時価総額

時価総額は発行数量✖️時価で計算されます。

2021年3月6日現在ビットコインの時価総額は発行数量1,864万BTC✖️時価525万円=98兆円です。ここで、金の時価総額と比べてみましょう。

ビットコインの価格が上昇していますが、まだまだ金の時価総額の方が12倍高いのです。とはいえ、一年前のビットコインの時価総額が11兆円であることを考えると現在のビットコイン時価総額は大きく上昇(9倍!!)しています。これだけの時価総額があれば、一人、二人のクジラがビットコインを売りに出したからと言って、市場に与える影響は小さくなっています。ちなみに日本企業最大の時価総額を誇るトヨタ自動車が26兆円(3月6日時点)なのビットコインの時価総額がいかに大きいか分かりますね。日本企業を遥かに凌駕していても、まだまだ金の方が時価総額が高く、時価総額の観点から金に代替するレベルに現段階では達していないように見えます。

ビットコインと金の相関関係

2017年からのビットコインと金の相関係数推移。

相関係数がプラスであればビットコインと金は同じ動きをしていることを表し、反対にマイナスであればビットコインと金は逆の動きをしていることを表します。無関係であれば、相関係数は0になります。

(累積相関係数推移)

2020年まではビットコインが時間とともに市場に認知されればされる程、金と正の相関である(相関係数がプラスで1に近い)ことが分かります。一方、2021年にはビットコインと金が逆相関の関係になっており、累積相関係数推移で見ても相関関係がやや減少しています。2021年はビットコインの価格が上昇傾向にある一方、金の価格は下落傾向にあります。そのため、金からビットコインに一時的に資金が流入しているのかもしれません。

2021年の逆相関関係が一時的であり、2020年までの正の相関が今後も続けばビットコインは金と同様安全資産と言われるかもしれません。

時価総額と相関関係の状況を見るとまだデジタルゴールドになったとは言い切れない状況です。それでも今後もビットコインに機関投資家が参入し、時価総額が上昇すれば、自ずとビットコインの安定性が増し、金と相関性が高まる(=リスク資産と負の相関を持つ)ようになるのではないでしょうか。そうすればビットコインはデジタルゴールドとしての地位を完全に確立するでしょう。

以上、ビットコインがデジタルゴールドとなるためにを検討した結果でした。

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