中国におけるAIの活用事例|テクノクラートと国家
今回は中国におけるAIの活用事例を紹介し、最新テクノロジーの積極的な採用を目指す国家/社会のあり方を各思想の文脈から考察していきます。
下記のような取り組みが10年単位で中国の世界的な影響力を拡大させ、オイルマネーとしての人民元の利用が拡大した未来において、貨幣制度がどのように移り変わっていくのかにも注目ですね✌️
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中国におけるAIの活用事例
中国AIソフト市場、シェア1位はセンスタイム 6年連続首位をキープ
日本でも多くの顔認証デバイスにセンスタイムの技術が活用されており、中国AIソフト市場においても20.7%のシェアを獲得しているようです。
米国からの制裁によって一時はIPOを断念するなどありましたが、GCC(湾岸協力理事会)諸国においてセンスタイムの存在感は大きくなっており、サウジアラビアの人工知能会社SCAIは、センスタイムグループに7億7,600万リヤル(2億654万ドル)の投資を行うことを発表しています。
サウジアラビアとセンスタイムは、国家規模でAIエコシステムの構築によるスマートシティ、ビジネスインテリジェンス、ヘルスケア、教育市場の成長を目指しており、AIによる社会統制と合理性の追求がどのように国家/社会のあり方を変えていくのか注目です。
百度、中国で高齢者・子どもの「尋ね人」問題にAIを活用
中国といえば、顔認証を活用した監視社会が国際的にも批判されていますが、行方不明者の捜索/発見や高齢者の徘徊問題の解決につながるケースをこの記事では紹介しています。
AIによる社会統制と合理性の追求がどのように国家/社会のあり方を変えていくのか?
に対する答えとしては1つの参考事例とも考えられますが、全国的な顔認証システムの採用が必須条件となるので、中国特有の事例と言えます。
日本でも各地方自治体がAIを活用した取り組みを行なっており、AIデマンド運行システム「SAVS」によって、実需に応じた公共インフラの活用などが期待されています。
高齢化社会におけるAIの活用は、従来の地方自治体の公共インフラの効率化をはじめとして地域課題の解決に用いられており、テクノロジーを活用した自治体主導型の社会を産官民連携によって目指す取り組みに着目していければと考えました。
テクノクラートの文脈におけるAIによる社会統制は新しい国家システムの基盤となることが予想されますが、地方自治体におけるAIによる公共インフラの効率化はミュニシパリズム(自治体主義)的な側面を有してると言えるかもしれません。
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ここらへんはすごい未来的な事例で、各国の社会インフラとしても普及していくのかなと思うのですが、さらに人民元建の貨幣システムの拡大が進むことで、テクノクラート/ミュニシパリズム領域の裏側では中国のAI技術/貨幣制度が活用される世界の到来が訪れるのかもしれません。
まとめ
来週は、AI 2041 人工知能が変える20年後の未来や荒潮を読んでSF的なロジックや未来予想を貨幣の歴史と国民国家/資本主義の再構築的なところに連携していければなぁと考えています。
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日本と中国だと規模感が違いますが、日常的にAI/ブロックチェーンは活用されていくと思うので、どっちの領域も最新情報から将来性を展望していければと思います。
ざっくりとですが、中国は国家による統制を基礎としてAI事業者の取り組みが活用される図式なので、テクノクラートでありながらもリバタリアン的な思想はかなり縮小されているのかなと感じました。
中国の統制社会から離脱した新中華圏によってある意味でリバタリアン的な思想の実現がなされるのかもしれません。