マックス・シュティルナーのコラ画像コミュニティを紹介する

マックス・シュティルナーのコラ画像コミュニティを紹介する

これです。 https://np.reddit.com/r/fullegoism/

そもそもマックス・シュティルナー(Max Stirner)って誰?

  • ドイツの19世紀の哲学者。代表作は「唯一者とその所有」
  • リバタリアニズム、個人主義的アナキズムの源流。マルクスや他の思想家を嘲笑しマジギレさせたことで有名
  • 牛乳を大量に買い集めて販売しようと目論み全部腐らせて大失敗、最後は虫に噛まれたことが原因で死亡。商売が下手過ぎるのとインセルのような惨めな人生が150年後のインターネットでネタにされる
  • 素顔がエンゲルスの記憶による雑なスケッチでしか伝わっていない。なぜか神格化されネット民特有の「少ない素材を活用する」ミーム化の餌食に

詳しいことはWikipediaを参照。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%8A%E3%83%BC

シュティルナーの主張は一般常識から外れた極端なエゴイズムです。Bitcoinを理解している人なら骨子は簡単に理解できると思いますが、この記事では彼の主張の紹介ではなく彼の主張をネタにして楽しむコミュニティを紹介します。そもそも「唯一者とその所有」自体、明白な、あるいは隠蔽された大量の冗談と一緒に語られているのでミームとして使いやすい本です。そのためコミュニティにも他では見られない独特な面白さがあります。知っておくと便利な最低限の知識を説明します。

「自由主義、権利、財産といった観念は全て、実在しない幽霊が人間に取り憑いたようなものである」

英語ではspook(おばけ、幽霊)として翻訳されています。「唯一者とその所有」では観念を批判するための比喩として登場しますが、インターネットではイケてないものは全てspookです。掲示板やSNSでバトルをするにあたって、自分の気に入らないものはspook認定してしまえば絶対に負けることはありません。

https://np.reddit.com/r/fullegoism/comments/k8bfe9/something_something_everythings_a_spook/

PROPERTY RIGHTS(財産権)も入っています。アイン・ランドを侮辱するネタが人気です。ちなみにビットコイナーの間ではアイン・ランドが人気ですが、自分はマックス・シュティルナーの思想の方がビットコイナーと親和性が高いと思っています。

「国家にとってすべての個人は犯罪者である」

https://np.reddit.com/r/fullegoism/comments/k8w3k3/gib/

とか

https://np.reddit.com/r/fullegoism/comments/kan65e/unless_it_pleases_your_ego/ 

を見ればわかるように、アウトローに対する肯定がネタになります。妥協のない唯一者の意志は全て反「社会」的なもので、既存の倫理から自由です。共産主義者とか社会主義者のように屁理屈をこねて他人の財産を強奪するのではなく、もっと堂々とした窃盗の肯定も可能です。こういう極端な態度、極論は短絡的なインターネットのコミュニケーションと親和性が高いです。

「私の事柄を、無の上に、私はすえた」

「唯一者とその所有」を代表する一文です。本来の意味は説明するのが難しいので自分で調べてください。一方英語圏インターネットのシュティルナー愛好家の間では"based"は何らかの論拠がもっともらしく聞こえる、道理が通っているという意味でネタとして使われています。自我とか主張とかいうのは全てシュティルナーからすれば無根拠の上に成り立っているのであり、皮肉として読むのが適切です。

「自分の力を通じてそれに所有の許可を与えさえすれば、自分のものになる」

シュティルナーは一切の与えられた権利というものを認めません。これは所有権であっても例外ではなく、主流リバタリアニズムとの大きな違いです。著作権などは当然認められないので以下のようなミームが成立します。

ネタバレですが、この曲は別にシュティルナーのファンがシュティルナーのために編曲したものではありません。どこからか勝手に盗んできたものにそれっぽいタイトルを付けているだけです。このようなあからさまな窃盗をネタとして昇華できるのはインターネットにおいて強みであります。

最後に

アイン・ランドも世間的には十分過激ですが、シュティルナーはそれ以上です。ジョークを説明することほどつまらないものはないので、後は自分で読んでください。読まなくてもネタとして消費することはできますが…

参考

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