【書き起こし】第4回情報法制シンポジウム2 新型コロナ対策 ヤフーの対応

【書き起こし】第4回情報法制シンポジウム2 新型コロナ対策 ヤフーの対応

【第4回情報法制シンポジウム】テーマ2「新型コロナ対策 官民のデータ連携・公益活用の実践と課題」※オンライン開催・参加無料 | Peatix
https://jilissymposium4-2.peatix.com/

報告2 「ヤフーの対応」小柳 輝(ヤフー株式会社データ・プロテクション・オフィサー)

Yahooでも感染症対策として、LINEさんとはまた違い、すでに保有している情報を政府に提供した。

具体的内容と詳細、どのような検討をしたかについてご報告したい。

Yahooが新型コロナ感染症関連でどういった情報提供をしたか。

一般のお客様向けに各種情報、ニュースや都道府県からの発表をまとめて御覧いただけるページの準備や、乗換案内での混雑予測の提供、地図でのエリアごとの混雑状況の可視化、過去の情報を20分程度の遅延で見られる情報提供をした。

政府への提供内容は、DS.INSIGHT、Yahooが保有するデータの統計情報を提供。

例えばおにぎりという検索ワードがどういった他のワードと一緒に検索されているのかということであったり、市区町村の流出人口、ある日、ある市にどこの市からどれぐらいの流入があったか。普段有償のサービスだがコロナ対応ということで都道府県、政令指定都市に無償で提供した。それから、コロナのクラスタ対策に資する情報の提供。

具体的にどういうデータを提供するのか

取組の内容についてご説明させていただいてい協力いただく旨の同意を頂いたお客様のいち情報、検索履歴を主として分析。コロナに感染している人が検索する可能性が高いであろうキーワードの検索数をエリアごとに出していきまして、これを1日毎、検索数を一定のエリアでみて、前の週の同一日などと比較し、顕著に増えていればそこで新型コロナウイルスのクラスタがあるであろう、ということで、具体的にはデータといたしましては検索数の増減みたいなもの、をご提供させていただくというもの。

一定の、検索数が少ないエリアはデータを削除するなどの一定の処理を実施。

福島様からも既存のデータ新規のデータという指摘がありましたが、当社データは既存のデータということでございます。

それも含めてどういった特色、特徴がYahooの提供データにあるのか、我々の認識をまとめた

国から要請を受けてYahooが実施することについて、既存のデータなのでお客様に予期があるのか。提供しているのは統計。検索履歴などのセンシティブなデータを分析して提供している。一般的統計データの提供とは事情が異なるのではないかということで、この点についてはお客様から同意を得なければと考えた。

2点目、クラスタの発生が疑われるエリアというような情報は単なる数字情報ではなく、ネガティブな属性を含む情報です。ここまで皆様と共通の認識を持てるか難しいかもしれないが、過去の歴史を考えたり、世界を広く見ると、緊急時に必要であるという理由にして政府が市民社会に介入していって、それが拡大していってしまい、結果人々の自由が不当に抑圧されるということは歴史的にはあったことは動かしがたい事実。とうぜん、そんなことをするとは思っていないが、Yahooが今回協力するということで、市民社会特にとの間の適切な緊張関係が、仮に、影響を与えてしまう事になってしまわないかは相当懸念をした。

この点に関してはアドバイザリーボードを設置し助言をいただきながら、具体的には国との間の協定に条文を落とし込んでいくという形で対応した。

3つ目、検索履歴を使うことに付随する問題。検索というのは、仮に統計化されていたとしても、自分の検索によって悪いことが起きるのではないか、なにか不利益がないか、という不安になってしまって、仮に検索をためらうことが生じてしまうとすると、コロナで皆さん不安になっている中で情報を取得することは極めて重要ですので、緊急時に人々が、今まで経験したことがない状況で、必要な情報を摂取することに影響を与えることがあってはならないということで、そうではないというのを丁寧にコミュニケーションするしか無いと思うが、考えなくてはいけない。

提供するデータがエリアに関する情報。仮に悪用されてしまった場合の影響が個人との関係で収まりきらない。これは全く空想の話ですけれども、政府がYahooから提供を受けたデータをもとにエリアを封鎖することが仮にあった場合、関係するエリアに病院があっていかなきゃいけない人、仕事に行かなきゃいけない人もいる、あらゆる人に多大な影響を与える。不当な差別、介護が必要な方が命を落とす、極端な例だが起きることが想像できないわけではなかった。こうしたデータを提供するに当たり、本人同意があるから良いと終わらせるわけには行かないだろうと。

そういう可能性がある、そういう性質を帯びているということを、お客様に対して、しっかり安全弁みたいなものを、利用目的を限定するのもそうだが、安全弁になるものを提供しなければならないという議論をした。
Yahooでいつでもデータ提供を止められるようにする、政府に利用について適切なタイミングで公開することをお願いする。定期的に会合を持つ。

協定要旨

今まで話したものに加え、国民に疑念が生じないよう積極的な情報発信をしてください、データの保存期間を定めてください、透明性確保が重要と思われますので協定の内容そのものを公表できるように。。

以上Yahooが行った具体的な内容でした。

LINEさんのような速度ではなく結構時間がかかってしまった。
論点の洗い出しやどう考えるべきか、そういった検討自体にはあまり時間がかかっていない。政府の交渉には一定の時間がかかっているが、当社側のほうで時間を要してしまったのは、そもそもこれやっていいのか、やる場合どの程度の成約を政府との関係で求めるべきなのか、ということは相当判断が難しく、すごく悩んだ。

最終的には2回開催させていただいている3・12と4/10、アドバイザリーボードで本件、社会に受け入れられるような取り組みになるように様々なご助言をいただき実現した。

会議自体は2回だがメールや面談でご迷惑をおかけしたところもあったが。

アドバイザリーボード座長に東京大学宍戸先生にお願いしているが、ヤフーが政府との関係について、利用目的の確約、成果の公表、ヤフーの提供を中止できることにしたのには大きな意義があるとおっしゃっていただいている。

民間のデータをいかに使っていくかも今後議論をして検討していかなくてはいけない。政府が普段収集すべきでない情報の活用が重要になるケース、日本ではコロナが初めて問題になったケースではないかと思うが、こうしたケースに取り組む中で課題として感じたことは、

一点目、緊急時に民間企業も地域社会の端くれ。なんとか協力したいという気持ちを持っていましたが、国難が目の前で起きている状況で、一方で負の影響もある。それを冷静に判断してちょっと待って下さいという、突っ走るという表現は正しくないかもしれないが、しっかり検討してくださいと止めていくことは、想像以上に困難だと感じた。

それから、2点目、いちから検討・調整したりで1ヶ月半の時間をかけてしまった。緊急の取り組みはこんなに時間を欠けられないことのほうが多いのではないか。

3点目、やるやらないの判断をするときにいざ冷静になってやるかどうしようか考えたとき、やらないほうがどう考えてもリスクが少ない。事業体としては。なんというか、そういう状況でいいのか、というのは一つあるかなと思います。

最後に、厚生労働省も、感染拡大防止のために、やれることは何でもやるということがあるかと思う。厚生労働省は国が国民に対して負う責任というのはある。海外でも大変な状況になっている。やれることは何でもやるということを当然考えるはず。そういうなかで、ここまでやるという明確なラインを切るのは難しいと思う。国民の期待はこの程度だということを伝えないと、わかりあえないということになる。

平時に緊急時を見越してどういう場合にどういう要件でどういう手続でどうガバナンスを効かせて実施するのか、国民的な議論をしておくべき。

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