パンデミックで明らかとなったブロックチェーンによる社会貢献の可能性(セッションまとめ)

パンデミックで明らかとなったブロックチェーンによる社会貢献の可能性(セッションまとめ)

Singapore Blockchain Week で開催されたパネルディスカッションに参加させてもらいました!当日は私から、寄付という社会貢献とブロックチェーンの親和性の高さを話しました。他の参加者の皆さんも、また違った環境から得られた知見を共有してくださったので、その議論の内容を紹介しますね。

はじめにモデレーターの Aly Madhavji から、ひとつの問いが投げかけられました。

「ブロックチェーンは、本当に良い社会を築いていけるのだろうか?」

ビットコインは単なるマネーゲームだと思う人は今でも多くいると日々感じます。どのように社会にとって利点を強調できるのかについて参加者同士で意見を交わしました。

私からは、透明性を生かした寄付こそが、まず一番に挙げられる良い社会の構築へ向けたユースケースだと話しました。寄付だけではなく、フェアトレードやトレーサビリティー、デジタルアイデンティティーなど、社会を良くするために必要とされる様々な機能が、ブロックチェーンには含まれています。国連で進められている気候変動への対応も、それらの機能を活用した、わかりやすい事例だと思っています。

日本での事例としては、ブロックチェーンを用いて家族関係を証明する Famiee プロジェクトを紹介しました。このプロジェクトは、多様性のある現代社会において、国家が定める制度上は証明が難しい婚姻関係や親子関係を証明するためのものです。残念ながら今は法律上認められることがなくても、ブロックチェーン上に保存した婚姻関係や親子関係の証明書の有効性を認める企業の内部では、従来の各種証明書と同等に扱われます。その結果として、従業員の多様な価値観を受け入れることができ、社会がほんの少し優しくなれます。

普及が始まったテレワークだけじゃなく、働く人たちの幸福度や心理的安全性を高めるために、これからもっと評価されるべき取り組みだと思い、応援しています。

国際的な機関でのバックグラウンドがある Farah Jaafar-Crossby は、今は変化することが難しい社会になってきたと見ていました。特に、政府機関や大手企業によるコントロール、そしてプライバシーに対する人々の意識が高まっており、それらの懸念を払拭することも同時に考えなければならない事だと言葉を強めていました。

確かに、ブロックチェーンによる情報の透明性が無条件に良い事だとは限りません。情報の透明性を優先するパブリックブロックチェーンが果たして全てを解決し、人々に受け入れられるのかどうか、それを真剣に議論し、より良い解決策を提示していく必要があります。

今回の参加メンバーで目を引く経歴の Matt Sorum は、有名バンド GUNS N' ROSES の元ドラマーです。彼は、一般人はビットコインやマイニングと聞いても、ギャンブルとしか思わないという重大な問題を指摘していました。そして、それを今こそ教育すべき時だとも、その経験から語っていました。音楽がデジタル化された時も、人々に理解されるのに時間がかかったと言います。今はその変化の最中にあるので、彼自身も、アートや音楽の世界の人間として、人々の意識改革という課題に取り組んでいるとのことでした。

アーティストとしては、コラボレーションの際のトレーサビリティーが実現できるという点で、ブロックチェーンへの期待をしているそうです。また彼は、音楽以外の分野でもブロックチェーンの可能性を探るべく挑戦をしており、すでにバイオテック分野において、ウイルスや病気の研究への応用事業に携わっていると説明してくれました。コロナ禍の今こそ、あらゆるデータをオープンにし、ブロックチェーンで追跡可能にすべきだと考えているそうです。そのために、行動にインセンティブを設計することもできるのもまた、ブロックチェーン技術の面白い点だと、今の挑戦を教えてくれました。

投資家の John Probandt は、ブロックチェーンが世界的な課題の解決にどう役立つのかという問いに対して、その変化の最先端にいるアジアこそに可能性があると答えました。国境を越えて情報の透明性を維持し、リアルタイムで説明責任を果たせる機能が、鍵になるとの考えです。

また、パンデミック後の社会については、この新しい日常は来るべきものであって、ただそれが早まっただけだと考えるべきだと彼の意見を主張しました。いずれはテクノロジーで置き換わるはずだったものが、変化の加速によって前倒しされただけだ、ということです。つまり、今すべきことは、未来にどんな変化が起こるのかを考え、その時に何ができるのかを見極め、それをいますぐ実行に移す事だと、非常にユニークな考え方を教えてくれました。

その他、Farah は、彼女のいるマレーシアでのコロナ禍の変化に気づきを得たそうです。

ロックダウン期間にテクノロジーの浸透が加速したものの、重大な課題は、端末が十分に無かった事だそうです。ブロックチェーンやソフトウェアはすごいけど、それを稼働させる端末という部分を見れば、ASEAN 全体ではまだまだ足りないとのことです。いくら素晴らしいテクノロジーが誕生しても、その恩恵に預かれるだけのハードウェアがなければ、それは人々に届きません。ハードウェアもまた、まだまだ解決すべき問題を抱えているとの彼女の発言は、私自身にも貴重な気づきを与えてくれました。

最後に私は、Binance Charity がコロナ対策で行った寄付活動について、説明をしました。

今回実際に大規模な寄付活動に携わり、決済の速度とコストの安さ、そして透明性は、本当に有益だということを実感しました。P2P で直接届けたい先に寄付ができるというのも、まさにイノベーションだと思います。

Binance Charity では、24カ国に対して、合計431BTCを集め、マスクやその他の医療品と合わせて寄付をすることができました。また、マスクの寄付を行うための PPEトークンを発行し、ブロックチェーンを活用したトークンエコノミクスの寄付への応用の事例を作ることができました。

過酷な状況だからこそ、この素晴らしい業界に、このタイミングで携われたことに感謝し、今回みなさんから学んだことを活かして、今後も自分にできる貢献をしていきたいと強く思いました!

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