酒呑童子の赤い鬼瓦(?): 比叡山延暦寺の根本中堂の屋根にある酒呑童子のような色をした赤い鬼瓦
(この上の動画の 1:20~ 現在の根本中堂の赤い鬼瓦の映像)
ぼくはいま、酒呑童子(酒天童子)の伝説について研究しているのですが、酒呑童子(酒天童子)の伝承を構成する重要な要素のいくつかは、比叡山延暦寺に代表される天台教団(天台宗の教団)がつくったといわれています。
(くわしくは、こちらの記事をご覧ください。)
そうしたこともあってか、比叡山延暦寺には、酒呑童子(酒天童子)の伝説とのつながりをかんじるモノがいろいろあります。たとえば、伝説のなかで酒天童子が変化した楠の巨木をおもわせる、比叡山延暦寺の根本中堂の本尊である薬師如来像の御衣木(造仏のために使用される霊木)やその跡地、また、まるで酒呑童子(酒天童子)のような色をした赤い鬼瓦、などなどがあります。
今回は、そういったもののなかから、比叡山延暦寺の根本中堂の赤い鬼瓦について、お話してみたいとおもいます。
この下の絵図は、江戸時代後期に制作された「延暦寺根本中堂他造営絵図」という絵図です。(※この下の絵図は、元の原画を模写したものです。)
「延暦寺根本中堂他造営絵図」〔模写〕
(比叡山延暦寺の東塔地区にある伽藍を描いた絵図)
この下の絵図は、この上の「延暦寺根本中堂他造営絵図」のなかの、根本中堂が描かれている部分を拡大したものです。すこしわかりにくいですが、この根本中堂の絵図のなかの、屋根の棟木(むなぎ)の左端(ひだりはし)のところに、赤い鬼瓦が描かれています。(※この下の絵図は、元の原画を模写したものです。)
「延暦寺根本中堂他造営絵図」〔模写〕〔一部分〕
(根本中堂とその廻廊が描かれている部分)
この下の絵図は、この上の「延暦寺根本中堂他造営絵図」のなかの、根本中堂の屋根の棟木の左端(ひだりはし)のところにある、赤い鬼瓦の部分を拡大したものです。(※この下の絵図は、元の原画を模写したものです。)
「延暦寺根本中堂他造営絵図」〔模写〕〔一部分〕
(根本中堂の赤い鬼瓦が描かれている部分)
この上で紹介した、「延暦寺根本中堂他造営絵図」の絵図は、江戸時代後期に制作されたものですが、根本中堂の赤い鬼瓦は、現在の根本中堂にもあります。
たとえば、この下のYouTube動画のなかの、「1:20~」のところに、現在の根本中堂の赤い鬼瓦が映っています。
根本中堂大改修(H28年9月) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=LZEV_8XyEb8&start=80
また、この下の、比叡山延暦寺の公式Twitterアカウントのツイートの動画には、根本中堂の改修工事のために、一時的に根本中堂の屋根からはずされている、根本中堂の赤い鬼瓦が映っています。
延暦寺【公式】さんのツイート
https://twitter.com/enryakuji_hiei/status/1127059661511782400
また、この下のYouTube動画のなかの、「9:50~10:00」のところには、光の加減で見えにくくなってはいますが、根本中堂の赤い鬼瓦が映っています。
伝教大師最澄と根本中堂 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=XG8eiZlpHlk&start=590
以下の参考文献は、今回、紹介した「延暦寺根本中堂他造営絵図」の絵図が掲載されている参考文献です。
・参考文献: (2002年) 「2. 延暦寺根本中堂他造営絵図(滋賀1)」, 『社寺境内図資料集成 2 (国立歴史民俗博物館資料調査報告書:情報資料研究部 12)』, 国立歴史民俗博物館; 〔口絵〕, 29ページ.
・参考文献: (1955年) 〔根本中堂廻廊〕, 『国宝延暦寺根本中堂及重要文化財根本中堂廻廊修理工事報告書』, 国宝延暦寺根本中堂修理事務所, 〔口絵〕.
・参考文献: (1955年) 「四十 延暦寺根本中堂附近古図」(縮尺二十分ノ一), 『重要文化財延暦寺大講堂修理工事報告書』, 国宝延暦寺根本中堂修理事務所, 〔口絵〕.
以下の参考文献は、根本中堂の図面などが掲載されていて、それらの図面のなかに根本中堂の鬼瓦が描かれている参考文献などです。
・参考文献: (1968年) 「滋賀県 延暦寺根本中堂側面圖 縮尺六拾分之壹」(「延暦寺根本中堂及び廻廊 竣工 側面図」), 『国宝・重要文化財(建造物)実測図集 10 (滋賀県 2)』, 文化財保護委員会, 442ページ〔図面番号:817〕.
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「これ好奇のかけらなり、となむ語り伝へたるとや。」