Bitaxeの輸入販売~ビットコイン建て小売の経験~
トラストレス・サービス株式会社で9~10月にかけて輸入販売していたBitaxe 401 Supra 100台が完売したので、今回の輸入販売に関して得られた教訓などを共有しておこうと思い記事を書いています。決済に関するデータも少しあります。
ミートアップで発表する(もしくは紹介してもらう)ためのスライド形式でお送りします。
まず、自分のツイートをさかのぼると去年の8月ごろにはBitaxeの存在を認知していたようです。(skot9000氏のツイートを引用していました)
その後も今年の春ごろから興味が復活し、自作にも興味があったようです。もはや記憶にありませんでしたが。
8月1日に日本国内にも需要があると判断し、輸入販売を決意しました。後押ししてくださったtanakeiさん、Jinkinokoさんありがとうございました。
結局輸入販売は上記のスケジュールで実施しました。Bitcoin Tokyo 2024カンファレンスの準備もあり忙しかったのと、Bitaxeコミュニティを盛り上げたほうが楽しいと判断したため、最初は1人1台限定、カンファレンス受け渡しという条件で予約を受け付けました。また、カンファレンス2日目のライトニングマルシェでも10台を当日販売しました。
予約販売・当日販売を合わせて49件の決済のうち、39件がLN支払い、10件がオンチェーン決済となりました。当日販売も問い合わせが相次いだのもあり、2時間以内に完売する人気商品となりました。ありがとうございました。
1人1台という制限やカンファレンスでの手渡しという条件はその後緩和することに決めていたので、ウェブサイト上で1円商品を作り、こちらを購入したりカートに入れたユーザーをリスト化して再入荷時に優先的に案内するという仕組みを用意しました。匿名配送(後述)を利用するつもりだったため、チェックアウトページに進むときにメールアドレスを入力していただいていたので、「1円の予約商品をLN決済したユーザー」→「決済しなかったがカートに進んだユーザー」→「SNS告知」の順番で再入荷をお知らせすることができました。
最初の再入荷時に入れた25台は、そのうち22台が「1円商品を決済したユーザー」に案内した時点で売り切れたため、急遽さらに25台を輸入することを決定しました。次の3台も、翌日カートに追加したユーザーに案内した後すぐに完売しました。ちなみに、最終的には法定通貨決済を導入することになると見ていたため、この25台のうち2台は試験的にStores.JPで販売しました(後述)。
購入者の大半はLNユーザーではあったはずですが、決済手段の内訳は最初の49台と大差ありませんでした。
最後に入荷した25台はそれまでと比べて売れ行きが鈍りました。ウェイトリストがたまっていなかったので当然といえば当然です。また、商品を卸してくれていたSolo Satoshi側のミスで電源が同梱されておらず、出荷が数日遅れてしまいました。支払い手段の内訳はStores経由の日本円(クレジットカード)が増えました。
ちなみにSolo Satoshiは春から半年でBitaxe Supraを3500台近く販売したようですが、そのうち100台は弊社が1か月ほどの間に輸入したものです。
さて、販売するための環境にはBTCPay Serverをセルフホストして立ち上げました。さらのデバイスを使って立ち上げるのは非常に簡単なのですが、それだとBitcoindの同期に時間を取られてしまいます。(ラズパイ4だと5日ほどかかりました)
一応、カスタマイズして既存のBitcoindに接続することも不可能ではないようですが、様々なトラブルシューティングが必要になるため、今回は手間を減らすため使っていないラズパイを使用しました。インターネットへの公開はVPNと(すでに他にも使っている)リバースプロキシを用意する必要があったので、技術的なノウハウがないと簡単とは言えないでしょう。詳しくない方は素直にクラウドに立ち上げたほうがコストはかかりますがインターネットへの公開が単純です。
事務的な部分について指摘すると、freee会計に連携するプラグインやクロネコヤマトの匿名配送(後述)のコードを発行して状態を管理してくれるプラグインとかあればもっと楽だったなと思いました。また、最初に購入者向けの自動メールの設定を忘れていて、たくさん問い合わせが発生したのは失敗でした。
最後に、オンチェーン決済を受け取るウォレットは既存のものを指定したのですが、インボイスが発行されるたびに新しいアドレスを使う割にはオンチェーン決済が少ないので、Gap Limitが20件のウォレットに同じxpubを読み込んでも資金を受け取ったことに気づいてもらえないなど厄介な状況がありました。もちろんBTCPay Serverはわかってるのですが。(オンチェーン決済で受け取った資金をひとまとめにしたり、送金したい場合に使えるウォレットが非常に限られる。)
最終的にはSparrow Walletですべてのコインを読み込んで、まとめるビットコイントランザクションを作って、ウォレットで署名しました。Sparrowしか勝たん。
Storesに関しては特に文句はありません。これ以上売り上げを法定通貨に頼るならベーシックプランに課金して手数料率を下げることも検討できましたが、仕入れがビットコイン払いだったので法定通貨払いで販売する台数を制限することにしました。
匿名配送を利用するにも関わらず、購入者に住所を聞いてしまうUIのせいで匿名配送用の住所入力リンクをなかなか開いてもらえない問題が発生しました。これは相性の問題かもしれません。Storesが匿名配送に対応すれば一番楽なのですが…。
クロネコヤマトの匿名配送スキームについてはbcatsさんが以前紹介していた郵便局のサービスとほぼ同じです。スマホからしか使えないのでスマホで毎回新しいリンクを作成するのがけっこう面倒でしたが、この機能を送料600円程度で使えるのは日本の宝です。お客様の住所も知りたくないし、自分のも知られたくないので。
強いて言えば専用箱が小さいので、大口購入の場合はゆうパックの匿名配送などを使うべきでしょうか。専用箱をあらかじめ購入していたので結局はお客様にお手数をかけてしまいましたが。
以上、お役に立つ情報があったなら幸いです。