以下のコラムは、Diamond Handsの企業スポンサーに送っているビジネスニュースレターの一部を一般向けに公開しているものです。現在Diamond Handsの第二期のスポンサーも引き続き募集してます。

今年前半はライトニングにあまり詳しくない層に向けた導入業界レポートの作成や、実店舗を巻き込んだ実験、海外コミュニティん内での認知向上など、色々やっていくので、是非スポンサーに興味のある企業がいれば公式サイトなどから個別に連絡お待ちしております。

以下ニュースレターからの一部抜粋

スイスのルガーノ市、ビットコインやテザーを法定通貨化へ

スイスのルガーノ市、ビットコインやテザーを事実上の法定通貨へ

スイスのルガーノ市がビットコイン、テザーと市の独自の仮想通貨を法定通貨化した、というニュースがありました。これにより納税にビットコインなどが使えるだけでなく、マイニングなどの関連事業の支援や店舗決済なども市が積極的に進めていくことになるようです。ライトニングは店舗決済などで利用されていくことになります。

国家によるビットコインの法定通貨化というのは去年のエルサルバドルが大きなインパクトを残しましたが、市区町村レベルでこういう事例に段々発展してきているようです。

さて、先日ビットコイナー反省会の定例放送時にも一部話をしたのですが、自分は最近何周か回って、ビットコインペイメント、つまり店舗やウェブサイト上でのビットコイン支払いが今後さらに重要になってくると考えています。

ご存知の通りトラベルルールなど現在取引所周りの入出金の規制が強化されてきており（これを読んでいる人は取引所の中の人も多いと思いますが）、それに加えウクライナとロシアの戦争など政治状況の変化が重なったこともあり、今後取引所上の仮想通貨を自分が自由に管理できるノンカストディアルなウォレットに移動する障壁がどんどん高くなっていくのは容易に想定できます。これは日本だけではなく世界的にです。

すでにCoinbaseなどがロシアへの「不都合な」送金と関係があると思われるユーザー口座を凍結？というニュースも見ましたが、今後日本のような国でも他人事ではなく取引所上のビットコインと自分のウォレットで管理するビットコインの差異は更に大きくなっていくと思います。

そんな中、長期保存用に取引所の外に出したコインというのは、このまま行くとトレードや取引にも中々使いづらいですし、DeFiなどに使おうにも残念ながら今後結局DeFiの多くの使用にも制限が厳しくなることが想定されます。つまり、このようなコインにとっては、投資や取引以外の文脈で、何かしら自由に使える出口がないと利用価値がどんどん薄くなってしまうリスクがあります。

逆に言えば、規制が厳しくなればなるほど、長期、もしくは大量保有者からの店舗や日常生活内での決済への（隠れた）需要が強くなっていくはずです。

そういうことをあーだこーだ考えていくと、やはりビットコインをSoVとしての長期投資やトレードのチップとして使うだけでなく、取引所の外の世界での店舗決済など利用できることの重要性が増していくのは明らかで、そんな中エルサルバドルやスイスのルガーノ市が法定通貨化や国や街を上げてビットコイン決済を推進しているのは偶然ではないでしょう（エルサルバドルはビットコイン法定通貨化後、旅行客などのインバウンドが伸びているという話は前回しました）

ちょうど東南アジアもAfterコロナに向けて入国制限などを緩和し始めており、また海外旅行客などが増えていくでしょう。こういう動きも一気にライトニングの決済が盛り上がる追い風になり、今まで苦戦が続いていたビットコイン決済が本格的に立ち上がるタイミングなのかもしれません。

ちなみにビットコイン/ライトニングじゃなくて、その他のクリプトカレンシーを使ったペイメントでもいいのではないか？という疑問もあると思います。確かに理論上は要は取引所の外の世界にあるコインを、店舗決済などで実物経済と繋げられればビットコイン以外でも問題はないですが、コインのグローバルでの普及度、低手数料、スケーラビリティ、プライバシーなども考えると現状ビットコインによるライトニング決済が店舗やオンライン決済でのユースケースにとっては最も適していますし、リードしている、と自分は考えています。逆に言えば、ライトニングのエコシステムにとってはこの流れをがっつり抑えていかないとやばいかも、という危機感も持った方がいいかもしれません。

ちなみにLightningを使った店舗決済などについては以下の英語の記事でもちょうどまとめてくれていたので、こちらもオススメです。

Lightning Commerce Is Coming