Arkの txlock について

以前の記事でビットコインの新しいL2技術であるArkの概要について紹介しました。ArkはvTXOと呼ばれるアウトプットを各ユーザーがL2としてのコインとして所有しており、そのvTXOを纏めたコミットメントをアウトプットにしてArkサービスプロバイダーがトランザクションを生成して送信します。Ark上でのユーザー間の送金は、送信者のvTXOを失効させて受信者に新しいvTXOを割り当てることで行われます。このvTXOの失効と割り当てはアトミックに行われます。この送金をアトミックに行うために使われるのがtxlockと呼ばれるテクニックです。

txlockについては、RubenSomsenによるArkの解説が分かりやすいです。以下の図はその引用です。

上段の「S if UTXO_2 exists(UTXO_2が存在する場合)」という条件は現在のビットコインスクリプトでは不可能ですが、ソフトフォークなしでこれを実現することができます。UTXO_2を含むトランザクションには、S(Arkサービスプロバイダーを指す)によってのみ使用可能な別の小さなアンカーアウトプットを含めます。このアンカーアウトプットをFORFEIT_TXのインプットとして構成して署名をします。そうすることで、UTXO_2とアンカーアウトプットを含むトランザクションが先にオンチェーンに送信されない限り、FORFEIT_TXはオンチェーンに送信されないので、「UTXO_2が存在する場合」という条件が満たされます。よって、AがBへ送金する場合、FORFEIT_TXの署名によりAのvTXOが失効されて、UTXO_2をインプットとしたREDEEM_TX(これをArkではvTXOと呼んでいる)がBへのvTXOの割り当てとなります。そしてこれはUTXO_2がオンチェーンに送信されることで失効と割り当てがアトミックに行われるのです。この「UTXO_2が存在する場合」という条件が`txlock`の正体です。またArkの公式サイトでは、アンカーアウトプットのことをコネクターアウトプット、「UTXO_2が存在する場合」というスクリプトをATLC(anchor timelock contract)と呼んでいます。

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