それは忘れたころにやってくる? (インフレ雑考③)
クリプト関連の入門書として、以前に『デジタル・ゴールド』という本を紹介しました。
https://spotlight.soy/detail?article_id=we5w0lrxs
この本の中に、インフレについて書かれた箇所があります。次のような内容です。
初期のビットコイナーは、アメリカの景気刺激策によってインフレが起こるはずだと考えた。
そうだとすると、ビットコインは、ドルよりも安全に思えた。
ところが、2013年末の時点で、インフレの兆しは一切見えていなかった。
(p369を要約)
私はここを読んで、「おや?」と思いました。
私がこの本を読んだ時点(2018年7月)では、アメリカでの物価上昇が、少しずつニュースになっていたからです。
「インフレの兆しは一切ない」なんてことは、なかったのです。
『デジタル・ゴールド』で言及していたアメリカの景気刺激策というのは、2008年の金融危機(いわゆるリーマン・ショック)の後に、FRBが大量の資金を銀行に注入したというもの。
これによって、通貨ドルの価値が下落し、インフレ率が上昇するという予測は、真っ当なものだと言っていいでしょう。それなのに、2008年から5年を経た2013年になっても、インフレは起きなかった。・・・本書での叙述はここまでです。
しかし、私がこの本を読んだ2018年には、インフレが始まっていたのです。
一体どういうことでしょう?
私は想像しました。
・・・金融緩和の効果は、後から遅れて現れることがあるのだろうか?
・・・実際、アメリカでは、10年かかった。
・・・ということは、2013年に始まったアベノミクスの効果は、2023年になって現れるということもありうるのか?
・・・空想がてら、当時の私は読書ノートにそうメモしたのでした。
(自分でも「まさかね」と思っていました。)
さて、それから時は過ぎて、2023年がやって来ました。
皆さんご存じの通り、日本でも物価上昇が顕著になっています。
日銀の政策もどうなっていくのか注目ですが、一度始まった物価上昇がどうなっていくのか、私は非常に強い関心を抱いています。
5年前に私が想像したように、やっとインフレが起こったのでしょうか?(つまりこの物価上昇は持続的なものなのでしょうか?)
そして、それを政府や日銀はコントロールできるのでしょうか?
(さらにまた、ビットコイン界隈はどうなっていくのか・・・)
今年もおもしろい1年になりそうです。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました!