ブロックチェーンとDefiのキャッチアップ
■はじめに
自身のブロックチェーン界隈のキャッチアップと整理を兼ねて、ホットな技術・サービス、特にDefi周りをまとめたいと思います。前半はブロックチェーンのおさらいで、後半はDefiの整理となってます。
■ブロックチェーン(前半)
ブロックチェーンを語る上で、まず最初に大事になるのが、それ自体の定義です。大きく分けて、(1)誰でも参加自由なパブリック型と(2)特定の参加者のみ参加可能なプライベート型に分けられます。今回はパブリック型ブロックチェーンについての課題についてみていきます。
パブリック型ブロックチェーンが抱えている問題として、処理性能の乏しさがあげられます。ビットコインを例にとると、ビットコインの1ブロック生成時間は約10分で、1ブロック(1MB)に格納される取引件数は平均2000件となっています。1秒間に3件ほどの処理性能しかないことが分かります。これでは多くの人がビットコイン取引をしようとしても処理が追いつかなくなり、決済手段として機能しないでしょう。この問題をスケーラビリティ問題といい、解決策としていくつかの改善案が提案・実装されており、これについては日銀がレポートとして公開しています。
■スケーラビリティ問題の改善策
日銀のレポートを参考に、スケーラビリティ問題の改善策について3つ紹介します。
1.オフチェーン
全ての取引をブロックに格納せず、最初と最後の取引残高のみをブロックに書き込む方法です。オフチェーン技術についてはこの記事に簡単に説明してあるので、よければ見てみてください。このオフチェーン技術を使ったプロダクトとしては、Lightning Networkが上げられます。Lightning Networkは開発も活発に行われており、今後の発展に期待がもたれています。この他に、イーサリアム上のオフチェーン技術としてRaiden Networkが存在しますが、ビットコインほど活発に使われてはいないのが現状です。
2.サイドチェーン
メインのブロックチェーンからサブのブロックチェーンへ資産を移動する仕組みで、双方のチェーン上を資産が自由に移動することができます。ただし、チェーン間の資産移動をする場合のみ管理者による検証が必要となります。
ビットコインのブロックチェーンのサイドチェーンとしてLiquidといわれるものが稼動しており、これは取引所間によるビットコインの取引を目的として作られました。通常のBTC承認では10分かかるのが、Liquidのサイドチェーン上では2分で承認が済みます。
3.シャーディング
取引検証をするノードをいくつかのグループに分割して、検証処理を並列で行わせる方法です。イーサリアムでの設計・実装が進められていますが、まだ完成には及んでいない模様です。
ブロックチェーンにはスケーラビリティという問題を抱えてはいるものの、ビットコインの誕生に欠かせないものでした。そしてビットコインの誕生により、既存の金融システムに大きな衝撃を与え、そこからブロックチェーンを使って新たな金融システムを構築しようとする流れができました。それは既存の金融取引に必要な仲介業者を中抜きにした2者間での取引を可能にしようとするものです。ビットコインは既に決済における第三者の中抜きに成功しましたが、先にみたブロックチェーンのスケーラビリティ問題も含めて実現できていないこともあります。以降では、Defi(Decentralized Finance)といわれる分散型金融がどのように既存の金融システムを変革していくか見ていきます。