密かなる追悼文

密かなる追悼文

名前の通り、元旦に旅立ったあなたへ。

会うと毎回楽しい話を聞かせてくれたあなたへ。

数多くの著作によって、日本人の投資リテラシーを向上させ、金融機関の手数料搾取を終わらせるという偉業を果たした。

今や、国内投信の信託報酬は激減し暴利を貪れなくなった。あなたの活動によって、国内の個人投資家の理解力が急速に高まったことが主因だ。

先日、投資仲間があなたへの追悼文を出した。

https://mushitori.blog.fc2.com/blog-entry-729.html

仲間自身も生死を彷徨ったが、あなたが末期癌で余命わずかなのに積極的に活動する姿が励みになった。

ウイスキーやハイボールをこよなく愛された。いつだったか、金融庁のAさんが来て、お付きの方も交えてすすきので飲んだとき、Aさんが酩酊して退場しても、酒豪のあなたは深酒して、結局二人で深夜の味噌ラーメンで締めたのが懐かしい。

金融庁への批判も多いあなただったが、NISAに関しては個人投資家のために応援を引き受けてくれた。

札幌証券取引所でNISAの啓蒙イベントをした後の打ち上げだったと思う。あの日、良識派官僚Aさんが語ったNISAの理想の全面改良は、月日を経て今年の元旦に実現したが、それが奇しくもあなたの命日となった。

全くの偶然にも、医療を必要としたあなたのお父様を支援したこと、お母様からあなたの著作を献本して頂いたこと。親子とはいえ守秘義務として黙っているつもりだったが、こっそりあなたに伝えた深夜タクシーの車内が思い出される。

あなたは高校生の娘さんを遺して旅立った。最期までクールだったが、内心はやるせない気持ちでいっぱいだったろう。今思い出したが、私の娘があなたの後輩になったことも生前に伝えたかった。子供達には自由な人生を歩んでもらいたい。

あなたは金融マン達の詐欺的商法を撲滅する第一人者だった。誇大広告、ウソを混ぜたセールスを指弾し、彼らの養分にならないよう警告を発し続けた。業界から村八分されようと。自分の懐が寂しくなろうと。

権力に媚びず、高名になっても鋭い切れ味で、辛口の表現を止めなかった。皮肉の名人は自らを「不経済な経済評論家」と称した。自分の「理解者」は欲しいが、自分の「信者」は一人もいらないと語る、商売っ気のない資本主義者だった。

インデックスの伝導者でありながら、ビットコインの本質的価値に理解を示した数少ない日本人識者だった。

そもそもあなたの忖度しない正直すぎる性格はビットコイナーに近かったと思う。敢えて話題に出すことは無かったが、私がインデックスからビットコインに傾倒したことも解ってもらえただろう。

何よりもすごいと思うのは、どんなに病が進行しても理知的な文章が書けたことだ。心底尊敬する。

https://note.com/hajime_yamazaki/n/n2dfd33f1d0ef

(1)正しくて、

(2)できれば面白いことを、

(3)たくさんの人に伝えたい。

あなたが最期に遺したミッション・ステートメント。微力ながら引き継いでいきたい。

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