「セブンイレブンが減益したのはレジのせい」についての考察
この投稿は、以下のツイートに対しての考察です
目次
1. レジのUIが悪いのは本当か?
2. レジ以外に減益につながるもの
3. レジのUIを改善するには
1. レジがのUI悪いのは本当か?
レジのUI悪いのは本当です。高齢者が使いづらい構造になっていることは確かで、さまざまな面で課題があります。(3で解説します)
ただし、このセミセルフレジを導入してから減益に繋がったと捉えられる情報はありません。
セブンイレブンのセミセルフレジは2020年の9月ごろから順次導入されてきました。
コンビニのセルフレジはNew DaysのSuicaのみを使用できるものが最初だったと記憶しています。
New Daysは当時、現金かSuicaしか使用できなかったため、スムーズな決済をするために導入しており、当時のスーパーのセルフレジや今のコンビニの多機能性はいっさいありませんでした。
この後、ローソンの実際に店員が利用している端末を用いてセルフレジ化が行われたり、ファミマではセルフレジ端末が店頭に置かれたりしました。
New Daysの時の導入理由は混雑時の利便性向上が目的でしたが、2020年以降のセルフレジ導入理由は主に非対面決済の比重が多かったと思います。(新型コロナウイルスの影響)
そのため、より多機能なレジの形が増えてしまいセルフで購入を完結するのがするのがとても難しく、UI的にさまざまな問題を抱えることになってしまいました。
2. レジ以外に減益につながるもの
ただ、レジのUIが減益につながるような情報はどこにもありません。
今回のセブン&アイ・ホールディングスの第2四半期の決算資料の説明を見ると、日本円の既存店売上伸び率は▲0.2%になっており、そこまで減益に大きな影響を及ぼしていません。
今回影響があったのは、海外事業とイトーヨーカドーのネットスーパー事業脱退が大きいです。
https://www.7andi.com/ir/file/library/ks/pdf/2024_1010ks_02.pdf
今後も一過性の特別損益があり、現在新規事業投資後の立て直しと、新たな新規事業への投資を行うことで利益自体の長期安定化と企業成長をはかっていることがわかります。
ただし、「セブンイレブンの価格は高い」というイメージが出来上がったことは決算資料でも説明されており、低価格商品を打ち出していくことが今後の戦略として大きいようです。
上記は若年層向けの取り組みで、高齢者に関しては中長期的な取り組みとして7NOWが大きく掲げられています。
(セブン&アイ・ホールディングス 第2四半期決算資料は説明もついていてかなりわかりやすいです。)
(参考)
収益認識に関する会計基準の変更後の国内コンビニエンスストアにおける営業利益推移(セミセルフレジ導入かつコロナ禍)
3. レジのUIを改善するには
前項ではレジのせいではないとわかりましたが、実際にレジは不親切であり、高齢者層がセブンイレブンから離れてしまうことがわかります。
実際に、ファミレスではデニーズはタッチパネル注文を導入し、ロイヤルホストは導入していないことでどの年齢をターゲットにしているかがわかります。
デニーズはコロナ禍から回復せず、ロイヤルホストはコロナ禍前の数値まで回復しています。お金を使う高齢者層をターゲットにすることで売り上げを回復していることがよくわかります。
高齢者に向いていないレジと言われる理由
セミセルフレジなことが一番ではありますが、高齢者が一番利用する現金の挿入のUIがよくないことにあります。
高齢者が利用するセルフでお金を挿入する機会は、
- 切符の購入
- 自販機
- ATM
- 駐車場
- 高速道路料金所
が主です。
それぞれの機械のUIをまとめてみます。
高速道路料金所は少し見切れていますが、ほとんどの場合に紙幣を縦に、小銭を一枚ずつ入れることがわかります。
では、セブンイレブンのレジはどうでしょうか?
まず、硬貨と紙幣の位置がほかの機械とは逆です。
また、紙幣は横向きに奥に向かって吸い込まれる方式で、硬貨はどの向きでも挿入することができます。
レシートは上から出てくるようになっています。
それぞれ、普段使っているものとは少しずつ違っていて、違和感があります。
硬貨と紙幣の位置がほかの機械とは逆
他の機械では常に硬貨が右、紙幣が左、お釣りが下の構成を維持しています。
この構成は馴染みがあり、他にも両替機やガチャガチャなどあらゆる場所で使用されています。
右利きが多くお金を取り出すのも右手が多いため、一番使われるものを右に置いていますが、他の機械と異なるため理解が難しくなっており、一度考えて使用しなければなりません。
紙幣は横向きに奥に向かって吸い込まれる方式
セブンイレブンはこれが一番お札を入れやすい形式と考えて作ったと思いますが、入れるお札の辺が長いため、調整して入れる必要があります。
入れる辺が長くなれば大胆に入れられると思いがちですが、大きいと長いは違い、長い場合は入れる際に調整が必要なります。
銀行のようにガバッと縦に入れるタイプは口自体が大きく、大量のお札を一度に入れるのに優れているかつ、雑に入れても問題ないUIになっています。
二つ折り財布からお札を出す場合を例に解説します。
二つ折り財布からお札を出す場合は、このような手つきになります。
このままお札の下の部分を突っ込めばいいと思いますが、そうはいきません。
一度持ち直して、左右の折れ具合のバランスを整えてまっすぐにしてから入れる必要があります。
自動販売機のように短辺を入れる方式では、折れ曲がりなど気にする必要がなく、吸い込んでくれるために調整が必要ありません。
レシートが上から出てくる
タッチパネルが上にあり、レシートも上から出てきます。
キャッシュレスを使用している人は横のタッチパネルから操作して右でタッチして、斜め下からレシートが出てくる導線です。
しかし現金の人は、上でタッチパネルで操作し、下で現金を入れ、お釣りを一番下から、レシートを上から取る必要があります。
そこからの視線や腕の動きが大きすぎるため、このレジの導線が崩壊しています。
上記の問題3つを改善すれば、もう少し高齢者に優しい(現金使用者に優しい)レジになるのではないでしょうか?
まとめ
決算資料を見るとセミセルフレジの導入が原因ではないことがよくわかります。
ですが、セミセルフレジが現金使用者や高齢者にとって使いづらいことも事実です。
昨今の決済方法多様化やレジ袋有料化によってセルフレジのオペレーションが増えてしまい、利便性を欠いている部分が今後改善されていくことを期待しています。