ビットコインと個人情報
ビットコイナーはプライバシーに敏感です。ではなぜSNSなんかしてるんでしょうね?
理由は人それぞれでしょうが、今回はネット上の活動リスクとベネフィットの最適なバランスを考えてみましょう。
オフライン最強!
顔出し上等!!
閲覧専用だから無問題。
検閲耐性より孤独耐性欲しい・・・
いろんな答えがありそうですが、やはり「サトシ・ナカモトの振る舞い」が最適解だと思います。最後まで匿名を守りつつ、精力的に活動し、頃合いを見て界隈から静かに消える。
ビットコインが通貨の最適解であるならば、サトシ・ナカモトはネットリテラシーの最適解。サトシ本人をビットコイン・エコシステムの一部と考えたとき、正体不明かつ行方不明になることで、非中央集権性と分散性を担保する役割を果たし続けています。
ビットコインは、誰かを信じ、頼り、崇めずとも機能し続ける非属人性が最強たる所以です。創始者である中心人物が計画的に消失することで、エコシステムの初期段階が完成しました。
サトシの振る舞いは最もビットコイナーらしく、多くの人が理想とする姿です。人がいつか死ぬように、いつどのようにデジタル上の人格を消すのかは、面白いテーマです。近未来ではデジタル上のリビングウィルやアドバンス・ケア・プランニングが必要な時代なのでしょう。
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さて、ビットコイナーの聖地たるTwitterが小汚くなって久しいです。インプレゾンビの徘徊激増で、おすすめ欄は便器に顔を突っ込み汚物をかき分けるかのようです。暗澹たる現実を許容しTwitterに通い詰める我々は、嘆きつつフィアット労働に勤しむ人々にどこか似ています。
代替候補として挙がるNostrはどうなのでしょう?現状では「10年前のビットコイン」のような評価が聞こえてきます。
「友達はみんなTwitterを使っている」「Xの方がメジャーだしNostrは怪しい」「Nostrは使い物にならない」「XがひどいのはわかるがNostrは解決策にはならない」
ですが、「情報」とはマネーであり脳の栄養であり生活必需品です。質の悪い情報を摂取し続けるリスクは高そうです。
質の良いお金を手に入れたビットコイナーなら、次は質の良い肉体と精神が欲しいでしょう。そのためには質のよい情報および情報プラットフォームが重要です。
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人々が悪貨を捨て良貨を求めるまでに長い年月が必要です。既に多くのビットコイナーがNostrを選んでいます。@JackはTwitterの二の轍を踏むBlueskyを離れNostrの住人です。名作21 Lesson:Bitcoin Rabbit Holeの著者GigiはNostr以外ではお目にかかれません。
かつてのユートピアTwitterの存在意義は、事業のマーケティング、ゴシップ収集、戯れのレスバが主たるものです。Botや書き込みバイトのレスを眺める行為に娯楽性はありますか?
通貨のプライバシー・非中央集権性と同様、ネット上の匿名性と分散性も重要です。ビットコインの目的が中間搾取者(銀行など)の排除であるように、Nostrは個人データを金脈とするビジネスマンを排除し個人情報の使用権を本人に取り戻す目的で運営されています。
Twitterなどの中央集権SNSと併用しつつ、主体的に自己データを管理できるプラットフォームへ移行するのがベストです。Twitterの持つネットワーク力、Telegramの利便性、Discordの機能性は素晴らしいですが、「自己情報コントロール権」とのトレードオフは深刻な事態を招きかねません。
決済におけるクレジットカード使用のトレードオフに似ていますね。快適性優先で既存システムに依存する限り、「管理と搾取の箱庭」から自由にはなれません。
Bitcoinの非中央集権性、Nostrの分散性、Torの匿名性、Signalの高セキュリティを活用することは、当面の利便性とネットワーク効果を犠牲にしつつ、自由でセキュアなインターネット環境を手に入れる本義的なWeb3.0への進化なのです。