DHMProリアペ&自問自答メモ
DHMPro「ビットコイン半減期フェーズ別の歴史と未来予想」
・ビットコインの振り返りとして簡潔かつ濃厚。
・クリプト(リブランディングとしてのWeb3)の誕生と栄枯盛衰もまとめられており、ビットコインとの対比も楽しめる。
・予想部分では現実世界との統合を軸とした展開がリアル。
以下、読後感想から派生した自問自答
・疑問1:クリプトが金融プラットフォームとして生き残るとして、米国債などの国債トークンが、ステーブルコインのDeFi運用上の需要を減退させるか?
→「米国の信用を担保とした利回り付きトークン」は売り手買い手双方にアリな商品なので、継続的に盛り上がるだろう。直近のUS10Yは4.3。大統領選後も急低下はないというのが大方の予想。DeFiをハイリスク運用する人々ではなく、安定的運用を求める層には充分に訴求力ある利回りではないか。
個人的には米国債含めた外債投資は「為替リスク」「金利変動リスク」を取って賭けるゼロサムゲームであり、あまり魅力的ではないと考える。トークン化で利便性と引き換えに、各ブロックチェーンの「システミック・リスク」が乗っかり、安定資産としての魅力はさらに減退する。大して意味のないリスクを取って数パーセントの金利を得るくらいなら、素直にビットコイン買い増しで良いのではないだろうか。
・疑問2:米国債を筆頭にバス化している「RWA」だが、ステーブルコインの雄【Tether社】は規制当局と折り合い続けられるか?
→欧州・中国の両当局は厳しい姿勢だが、米国当局が実効性ある締め付けをしない状況では、USDTの市場優位性が崩れる可能性は低い。OFAC次第だが急変が起こる可能性も引き続き考慮したい。
・疑問3:米司法省、SECがバイナンス事変のように本気を出した場合、Tether社のレジリエンスは如何ほどか?
→最近のUSDT裏付け資産変更、透明性向上、ビットコインへの擦り寄りを見ていると、その裏側にある何かに思いを馳せざるを得ない。だが、ここまで生き残ったことへのある種の畏怖の念も抱く。規制強化がトレンドなクリプト業界において、一貫して成長が止まらない異形の恐竜のような存在がTether社だ。そのレジリエンスが一時的偶然の産物なのか、あらゆる裏工作の結果なのかは、そう遠からず明らかになるのではないか。
・疑問4:CEOパオロ・アルドイノがCZのように裁かれる日が来る可能性は?
→ある。会社が何らかの罪を問われれば現CEOが矢面にさらされる。さらには、Tether社の最大株主であり、Bitfinexの親会社DigFinexの創業者ジャンカルロ・デバシーニが法廷に立つ日が来ないとも限らない。彼はその2社によって90億ドル以上の資産を築き、あのピエロ・フェラーリを上回るイタリア屈指の大富豪となっている。Bitfinexとの密接な関係性、過去の資金流用や資産混在は、FTXとアラメダのスキャンダルを彷彿とさせる。再度追求された場合に無傷かは怪しい。
一方で、BitfinexとTetherは米商品先物取引委員会(CFTC)、ニューヨーク州司法長官(NYAG)とその件で過去に和解済みだ。昨年はニューヨーク南部裁判所での集団訴訟に勝訴。直近でもWSJへの名誉毀損裁判を優位に進めるなど、法務部が無類の強さを発揮している(クリプト界の任天堂か)。Tether社の不透明でダーティーな面と、司法での高度な防衛力が共存するアンバランスさも異形の怪物たる所以である。
・疑問5:果たして、Tether社はクリプト市場に残された時限爆弾なのか?それとも規制当局でさえ手が及ばない「自由の象徴」なのか?
→わからない。ただ「その時」が来るまで、USDTはクリプト業界のマネーサプライとして機能し続けるだろう。