岐阜・郡上八幡訪問:生き方がアートになる街
こんにちは。12月上旬に、岐阜県の郡上八幡を訪問してきました。
普段は新幹線で通り過ぎてしまう岐阜県、日本国内では47都道府県の人気ランキングで38か39位とあまり芳しくありませんでしたが、海外観光客の間では11位の人気。関ヶ原の戦いの舞台、アニメに出てくるような風景、合掌造りで有名な白川郷、そして藍染などの伝統工芸など、海外からの旅行客には魅力たくさんです。

郡上八幡は、名古屋から車で1時間ほどの山間の小さな観光地ですが、郡上八幡城が街を見下ろす城下町として歴史があり、今は伝統工芸や文化を大切にする地元の人とともに、移住者もさまざまな業種で活躍し、若い世代が新しい街づくりに積極的に参加しています。昭和っぽい街並みの中に洒落たお店やカフェが点在します。
オフシーズンでしたが、目抜き通りはバスで来る観光客がぞろぞろ歩いていました。歩きながら1-2時間でぐるっと回ってコンパクトに楽しめるのも観光地として良いですね。派手で大きな観光地とは違う魅力があります。
TABITABI郡上:水と踊りの城下町 郡上八幡エリアガイド
夏には「郡上踊り」と呼ばれる盆踊りが1か月間毎日続き、お盆の時期には徹夜で盆踊りが開催されるユニークな文化があります。そして、なんとこの盆踊りは毎年、名古屋や東京にて出張開催も行われているそうです。
長良川沿いにあって川の支流もいくつかあり、清らかな水が豊富なこの街は、名水100選にも選ばれた宗祇水があり、コーヒーやお酒がまろやかで美味しくいただけました。地元の方は「蛇口をひねればミネラルウォーター」と笑っていました。
山と川とともに暮らす人々は、川ではアユやウナギを釣って食べ、山ではイノシシやシカなどを猟で仕留め、お米とお酒を造り、野菜を育て、自然のリズムとともに生きてるのだなと感じました。今回は、郡上のジビエ料理や地元の素材を作ったお料理とお酒をビストロ礼二郎でいただき、大満足でした!
冬は 郡上本染 鯉のぼり寒ざらしが有名で、国内外からの観光客が見学に訪れて賑わうそうです。2026年は1月20日と2月8日に開催され、染めた鯉のぼりの糊を冷たい川の水で洗い落とす作業が行われます。地元の小学生も自分たちで作った鯉のぼりの染物を川で洗う体験をする、町の大切な伝統行事です。イベント前日にはライトアップされた鯉のぼりが川を泳ぐ様子が見られます。
郡上本染と呼ばれる藍染は400年以上の長い伝統があり、現在まで15代続く郡上本染 渡辺染物店 では、ご兄弟が昔から続く手法で独特な美しい染物作品を作り続けています。今回の訪問では、こちらの工房で染めの工程を見学させていただく貴重な機会をいただきました。暖かい季節には、予約制で希望者を対象に藍染体験なども開催されているそうです。

水が一番冷たい季節に鯉のぼりの寒ざらしが行われるのはなぜか伺ったところ、水質が一番よく、雪の季節で川の水量が安定しており、予定通り作業しやすいからとのこと。川の冷たい水だと洗った後の仕上がりも格段に良くなります。とはいえ、このイベントの前日には川底の石を仲間と掃除して、作品が汚れないように細心の注意を払って作業するそうです。
郡上染が自然とともに行われているのは、冬だけではありません。一年を通して、季節、温度、湿度によって染料の効力や糊の具合が異なるため、季節によって異なるモノを作るそうです。その日の天気によって作業を変更することもあります。また、染料は土の中に埋められている甕に保存されており、自然発酵によって作られているため、毎日甕の中をかき混ぜる作業が必要です。染めた後に洗う工程には山から引いてきた水源を使っていますが、水温も仕上がりに影響するといいます。
いろいろなお話を聞かせていただき、藍染の伝統工芸がまさに自然と一体となって数百年も続いていることに深く感銘を受けました。
ここには書ききれませんが、郡上八幡の型染作家さんとイラストレーターさんにいろいろお手伝いいただき、滞在中は町家を改築した素敵なアートのある木ノ離の皆さんに大変お世話になりました。また、日本酒をお米から作っている女性の方にお会いしてお話を聞いたり、とても1泊2日の旅とは思えない充実した時間を過ごしました。郡上でお世話になった皆さまに、心から感謝しています。

今回の訪問を前後して、他にも郡上に縁のある方にお会いできたり、テレビでこの近くの和良町の米作り体験の取り組みや、かつての大俳優、近藤正臣氏の郡上八幡生活を取り上げた番組を見る機会があったり、不思議なものです。
郡上八幡では、大晦日には13か所で除夜の鐘が鳴らされて賑やかになるそうです。すばらしい自然と伝統、そして豊かな人々の暮らしがずっと続きますように!またぜひ別の季節にも、訪問したいと思います。
今年お世話になった皆さま、どうもありがとうございました!
どうぞ良い新年をお迎えください。





