暗号資産(ビットコイン)投資で借金を抱えたときの解決策|債務整理・税金問題をわかりやすく解説
※この記事は、暗号資産や借金問題について一般的な情報を提供することを目的としています。個別の法律・税務上の判断を行うものではありません。借金の状況や暗号資産の取引内容、収入、財産、税金の滞納状況などによって適切な対応は異なります。実際に債務整理や税務上の手続きを検討する場合は、弁護士・司法書士・税理士などの専門家や、公的な相談窓口に相談してください。
暗号資産(ビットコイン)投資で借金を抱えてしまったら
ビットコインをはじめとする暗号資産は、価格が大きく変動する可能性があります。現物取引を自己資金の範囲内で行っている場合、基本的には投資した資金以上の損失を負う構造ではありません。
一方で、レバレッジ取引を利用したり、カードローンなどから借り入れた資金を投資に回したりすると、状況によっては返済が困難になるほどの負債を抱える可能性があります。
また、暗号資産を売却・使用したことで所得が発生した場合には、原則として雑所得として課税関係が生じるため、利益を再投資した後に価格が下落すると、納税資金が不足するケースも考えられます。国税庁も、暗号資産取引による所得について、原則としてその他の雑所得に該当すると案内しています。
大切なのは、借金が膨らんでしまった時点で「投資で取り返そう」と考えないことです。返済が難しい場合には、債務整理などの制度を含めて、現在の状況に合った方法を早めに専門家へ相談することが重要です。
暗号資産投資で借金が発生する主な原因
暗号資産そのものが必ず借金を生み出すわけではありません。借金につながるケースでは、レバレッジ取引や借入金による投資、税金、投資詐欺など、複数の要因が関係していることがあります。
1. レバレッジ取引による損失
レバレッジ取引では、証拠金をもとに自己資金より大きな金額の取引を行います。
利益が拡大する可能性がある一方、価格が予想と反対方向へ動いた場合には、損失も大きくなる可能性があります。
国内の暗号資産取引については、金融庁の制度のもとで暗号資産交換業者の登録制度などが設けられています。利用するサービスが国内登録業者に該当するかどうかは、金融庁の情報を確認しましょう。
また、レバレッジ取引では、急激な相場変動などによって想定以上の損失が発生する可能性があります。取引条件や証拠金、ロスカットの仕組みはサービスによって異なるため、利用前に必ず確認することが大切です。
2. 借入金を使った暗号資産投資
カードローンやキャッシングなどで借りたお金を投資資金に充てると、投資で損失が発生した場合でも借入金の返済義務は残ります。
さらに、「損失を取り戻したい」という心理から追加で借り入れを行うと、負債が膨らむ可能性があります。
投資による損失を新たな借入金で埋める方法は、借金問題をさらに深刻化させる可能性があるため、避けることが重要です。
3. 利益確定後の納税資金不足
暗号資産取引では、単純に「日本円に換金したときだけ課税される」と考えてしまうと注意が必要です。
国税庁によると、暗号資産を売却または使用することによって生じる利益は、事業所得等に付随して生じる場合を除き、原則としてその他の雑所得に該当します。
そのため、取引によって所得が発生した場合には、その後に保有資産の価格が下落したとしても、すでに発生した所得について税務上の問題がなくなるとは限りません。
また、暗号資産取引による雑所得の損失は、原則として給与所得などの他の所得から差し引くことができません。具体的な計算方法は取引内容によって異なるため、申告が必要な場合には国税庁の最新情報を確認するか、税理士などに相談しましょう。
4. 暗号資産を利用した投資詐欺
「必ず儲かる」「元本保証」「月利○%を保証する」など、過度に高い利益をうたう投資話には注意が必要です。
SNSやマッチングアプリなどをきっかけに、暗号資産の購入や送金を求められ、さらに追加資金を要求されるケースもあります。
暗号資産関連のサービスを利用する場合は、事業者の登録状況やサービス内容を確認しましょう。金融庁では、暗号資産交換業者に関する情報や、利用者向けの注意喚起を公開しています。
暗号資産で借金を抱えた場合、まず何をすればいい?
返済が難しくなったときに最も避けたいのは、焦ってさらに借金を増やすことです。
まずは現在の借金と家計状況を整理し、必要に応じて専門家へ相談しましょう。
ステップ1:追加の投資・借り入れを止める
損失を取り戻すために、さらに暗号資産を購入したり、新たな借入れを行ったりすることは避けましょう。
すでに返済が困難な状態であれば、「次の取引で取り返せる」という前提で行動するのではなく、現在の負債をどう整理するかを考えることが重要です。
ステップ2:借金の全体像を把握する
次の項目を一覧にしてみましょう。
- 借入先
- 現在の借入残高
- 金利
- 毎月の返済額
- 返済期日
- 延滞の有無
- 保証人の有無
- 暗号資産などの保有財産
- 毎月の収入
- 毎月の生活費
借金の総額だけではなく、「毎月いくら返済できるのか」を把握することが重要です。
ステップ3:督促や裁判所からの書類を放置しない
返済が難しいからといって、金融機関や貸金業者からの連絡を無視することはおすすめできません。
延滞が長期化すると、信用情報に「異動情報」が登録される場合があります。CICでは、約定返済日から61日以上または3か月以上支払いが延滞したものを「異動情報」としています。
ただし、信用情報への登録時期や内容は契約・信用情報機関などによって異なるため、「何日延滞したら必ずブラックリストになる」と単純に考えるべきではありません。
ステップ4:早めに専門家へ相談する
借金の返済が難しい場合は、弁護士や司法書士などに相談する方法があります。
法テラスでは、任意整理、破産手続、個人再生手続、特定調停などを債務整理の方法として案内しています。
どの手続きが適しているかは、借金の金額だけでなく、収入、財産、住宅ローン、保証人、借入先、返済状況などによって変わります。
暗号資産で作った借金でも債務整理はできる?
暗号資産投資が原因となった借金であっても、直ちに「債務整理できない」と決まるわけではありません。
ただし、自己破産では、借金を負った原因などが免責不許可事由に該当する可能性があります。そのため、「投資による借金なら必ず免責される」「投資による借金なら絶対に自己破産できない」といった一律の判断はできません。
裁判所は個別の事情を踏まえて判断します。実際の手続きでは、暗号資産の取引履歴や入出金履歴などを含め、財産・債務について正確に申告することが重要です。
債務整理にはどんな方法がある?
債務整理には複数の方法があります。代表的なものが「任意整理」「個人再生」「自己破産」です。
法テラスも、これらを債務整理の代表的な方法として案内しています。
任意整理
任意整理は、裁判所を利用せず、債権者との話し合いによって返済条件の変更などを目指す方法です。
法テラスによると、弁護士や認定司法書士などに依頼し、債権者との交渉を行うケースがあります。
- 特徴:裁判所を利用しない
- 特徴:債権者との話し合いによって返済条件を調整する
- 注意点:債権者には交渉に応じる義務があるわけではない
- 注意点:すべての人に適しているわけではない
一定の収入があり、減額された返済額なら継続して支払える場合などに検討されることがあります。
個人再生
個人再生は、裁判所を利用して返済計画を立て、一定額を返済することで残りの債務について免除を受けることを目指す手続きです。
法テラスによると、原則として3年間で返済する再生計画を立て、裁判所に認められれば、その計画に従って返済します。
住宅ローンを抱えている場合など、個人再生を検討することで選択肢が広がるケースもありますが、利用には法律上の要件があります。
「借金が○万円なら必ず個人再生が使える」といった単純な判断はできないため、具体的な条件については専門家に確認してください。
自己破産
自己破産は、返済が困難な場合に裁判所へ申し立て、破産手続きを進めたうえで、免責許可を得ることによって、一定の非免責債権を除き債務の支払義務を免除してもらうことを目指す手続きです。
自己破産をするとすべての支払いが自動的にゼロになるわけではありません。また、財産や借金の状況などによって手続きの進み方も異なります。
自己破産を検討する場合は、自分で「投資が原因だから無理」と判断せず、弁護士などに現在の状況を伝えて相談することが大切です。
暗号資産投資の借金は自己破産できない?
「投資で作った借金は自己破産できない」という説明を見かけることがありますが、これは正確ではありません。
破産法には免責不許可事由が定められており、浪費や賭博その他の射幸行為によって著しく財産を減少させたり、過大な債務を負担したりした場合などが該当する可能性があります。
一方で、免責不許可事由に該当する事情があったとしても、必ず免責が不許可になるとは限りません。
大阪地方裁判所も、免責不許可事由がある場合でも、裁判所が諸事情を考慮して相当と認めれば、裁量によって免責を許可できると説明しています。
したがって、暗号資産投資が原因だからという理由だけで、自己破産の可能性を自分で否定するのは適切ではありません。
特に重要なのは「正確に申告すること」
自己破産を検討する場合、暗号資産の取引を隠したり、保有財産を意図的に隠したりすることは避けなければなりません。
裁判所への申立てでは、債務や財産について正確な情報を提出することが重要です。
暗号資産についても、取引所の口座だけでなく、必要に応じてウォレットなどを含め、自分が保有している財産を専門家へ正確に伝える必要があります。
「少額だから申告しなくても大丈夫だろう」と自己判断するのではなく、必ず専門家に確認してください。
債務整理3つの方法を比較

上記はあくまで一般的な比較です。実際にどの手続きが利用できるか、どの程度の返済が必要になるかは、個々の事情によって異なります。
自己破産しても支払い義務が残るものがある
自己破産について特に注意したいのが、「免責=すべての支払い義務が消える」というわけではない点です。
破産法第253条では、免責許可決定が確定した場合でも、一定の債権については免責の効力が及ばないと定められています。
裁判所の案内では、代表例として税金・罰金など、一定の損害賠償請求権、養育費などの支払義務などが挙げられています。
したがって、暗号資産取引によって税金の支払いが発生している場合は、「自己破産すれば税金もなくなる」と考えないようにしましょう。
暗号資産の利益に税金がかかる仕組み
暗号資産の税金については、古い情報がインターネット上に多数存在するため、最新の国税庁の資料を確認することが重要です。
国税庁によると、暗号資産を売却または使用することで生じる利益は、事業所得等に付随して生じる場合を除き、原則として雑所得に区分されます。
また、暗号資産取引による雑所得の計算では、必要経費などを考慮して所得を計算します。
暗号資産取引の税務は、取引内容や所得区分などによって取り扱いが変わる場合があります。複数の暗号資産を売買している場合、暗号資産同士の交換などがある場合、事業として行っている場合などは特に注意が必要です。
税額を自己判断せず、必要に応じて税理士や税務署へ相談してください。
暗号資産の税金を払えない場合はどうする?
税金の納付が難しい場合でも、何もせずに放置することは避けましょう。
納税について困っている場合は、所轄の税務署や自治体の担当窓口に早めに相談し、利用できる猶予制度などがないか確認してください。
税金は、一般的な消費者金融などの借金とは法的な扱いが異なります。自己破産を検討している場合でも、税金の滞納については別途対応が必要になる場合があります。
暗号資産で借金を抱えた場合の相談先
弁護士・司法書士
債務整理を検討している場合は、弁護士や司法書士に相談する方法があります。
借金の総額だけでなく、暗号資産の取引履歴、保有財産、収入、税金、住宅ローンなどを含めて状況を説明すると、利用可能な手続きについて検討してもらいやすくなります。
法テラス
経済的な事情から弁護士・司法書士への相談や費用の支払いが難しい場合には、日本司法支援センター(法テラス)の制度を確認する方法があります。
法テラスでは、一定の要件を満たす人を対象として、無料法律相談や弁護士・司法書士費用の立替えなどの民事法律扶助を行っています。
利用条件や対象となる手続きについては、法テラスの最新情報を確認してください。
税務署・税理士
暗号資産の利益について確定申告や納税が必要か分からない場合は、税務署や税理士への相談を検討してください。
特に、複数の取引所を利用している場合や暗号資産同士を交換している場合などは、所得計算が複雑になることがあります。
借金返済のために暗号資産へ再投資するのは避けよう
借金を返すために「一度だけ大きく儲けよう」と考えて、再び暗号資産へ資金を投入するのは非常に危険です。
すでに借金を抱えている状態では、損失を取り戻したいという心理から、リスクの高い取引を選択してしまう可能性があります。
さらに損失が発生すると、新たな借入れにつながり、負債がさらに増える悪循環になることもあります。
返済が困難になっている場合は、投資による一発逆転ではなく、債務整理や家計の見直しなど、現実的な方法を検討しましょう。
参考:「借金ブログ」を読むだけでは完済できない?多重債務から抜け出す具体的なステップと現実的な返済計画
投資を再開するときに注意したいこと
債務問題が解決した後に資産形成を考える場合でも、借入金を投資に回すことは避けることが重要です。
投資に使う資金については、生活費や近い将来に必要となる資金とは分けて考えましょう。
また、暗号資産は価格変動が大きく、元本が保証されている金融商品ではありません。金融庁も暗号資産について利用者向けの注意事項を案内しています。
投資を行う場合は、商品の仕組みやリスクを理解し、自分の資産状況やリスク許容度を踏まえて判断することが大切です。
暗号資産・ビットコインの借金に関するよくある質問
Q. 暗号資産投資で作った借金でも自己破産できますか?
暗号資産投資が原因であることだけを理由に、自己破産や免責の可能性がなくなるわけではありません。
ただし、破産法には免責不許可事由が定められており、投機的な取引の内容や借金に至った経緯などが問題になる場合があります。
免責不許可事由に該当する可能性があっても、裁判所が個別事情を考慮して裁量免責を認める場合があります。
具体的な見込みについては、取引履歴や財産状況などを確認した弁護士などに相談してください。
Q. 暗号資産を持ったまま自己破産できますか?
自己破産を検討する場合、保有している暗号資産も財産として申告する必要があります。
「少額だから申告しなくてもいい」「取引所から別のウォレットに移せば分からない」などと自己判断するのは危険です。
財産を隠したり、裁判所や破産管財人の調査に対して虚偽の説明をしたりすると、免責に重大な影響を及ぼす可能性があります。
保有している暗号資産については、すべて正確に専門家へ伝えましょう。
Q. 暗号資産の借金は任意整理できますか?
任意整理は、債権者との話し合いによって返済条件を調整する手続きです。
暗号資産投資が借金の原因だからという理由だけで、任意整理を検討できないと決まるわけではありません。
ただし、債権者との交渉になるため、実際にどのような条件になるかは債権者や個々の事情によって異なります。
Q. 暗号資産で出た利益を全部再投資してしまい、納税資金がありません。どうすればいいですか?
まず、利益や取引履歴を整理し、実際にどの程度の所得が発生しているのかを確認しましょう。
税金の支払いが難しい場合は、税務署などへ早めに相談してください。
暗号資産の税務計算は複雑になることがあるため、必要に応じて税理士への相談も検討しましょう。
Q. 借金を返すためにもう一度暗号資産で勝負するのはダメですか?
返済資金を確保する目的で、高リスクな取引を行うことはおすすめできません。
損失が発生した場合、さらに借金が増える可能性があるためです。
返済が難しい状態なら、まずは債務整理などの制度を含めて専門家に相談しましょう。
Q. 家族や勤務先に知られずに債務整理できますか?
手続きによって事情が異なるため、「必ず家族や勤務先に知られない」とは言えません。
任意整理は裁判所を利用しないため、個人再生や自己破産とは手続き上の違いがあります。ただし、家計状況や保証人の有無などによって、家族への影響が生じることもあります。
秘密にできるかどうかを最優先に判断するのではなく、自分の借金を現実的に解決できる方法を専門家と一緒に検討することが重要です。
暗号資産の借金問題でやってはいけないこと
- 借金返済のために新たな借入れをする
- 損失を取り戻すためにレバレッジを上げる
- 督促状や裁判所からの書類を放置する
- 暗号資産の保有状況を隠す
- 自己破産の申立てで虚偽の申告をする
- 税金の問題を後回しにする
- 「必ず儲かる」という投資話を信用して追加送金する
特に、借金を新たな借金で返す状態になっている場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
まとめ:暗号資産の借金は「投資で取り返す」のではなく専門家に相談しよう
暗号資産やビットコインへの投資によって借金を抱えてしまった場合でも、投資が原因だからといって解決方法がなくなるわけではありません。
一方で、自己破産を含む債務整理では、借金を負った原因、収入、財産、返済状況などによって判断が変わります。
また、暗号資産の利益については税務上の問題が発生する可能性があり、自己破産によってすべての税金が免除されるわけでもありません。
まずは追加の借入れや投資を止め、現在の借金・収入・支出・暗号資産の保有状況・税金の状況を整理しましょう。
そして、返済が難しい場合は、弁護士や司法書士などの専門家、法テラスなどの公的な相談窓口に相談してください。
「投資に失敗したから自分にはもう方法がない」と決めつける必要はありません。現在の状況を正確に把握し、利用できる制度を確認することが、生活を立て直すための第一歩になります。
この記事の情報について
この記事では、暗号資産の税務について国税庁、暗号資産関連制度について金融庁、債務整理について法テラス、自己破産・免責について裁判所および破産法の情報を参考にしています。
法律・税制・金融制度は変更される可能性があります。また、この記事は一般的な情報をまとめたものであり、特定の人に対する法律・税務・投資上の助言ではありません。
実際の債務整理、自己破産、税務申告などについて判断する場合は、最新の公的情報を確認するとともに、必要に応じて弁護士・司法書士・税理士などの専門家へ相談してください。
参考資料:




