異端ソフトフォークOP_CTVについての見解

異端ソフトフォークOP_CTVについての見解

昨年末にビットコインの大型アップデートであるTaprootソフトフォークがアクティベートされて早半年が経ちます。TaprootではこれまでのECDSAに替わりシュノア署名が導入されました。シュノア署名はスケーリングやプライバシーの改善が期待されていますが、各ウォレットやライトニングネットワークへの対応はまだまだこれからといった感じです。今後、1年以上はシュノア署名の普及に時間を要するでしょう。

例えば、シュノア署名の応用の1つにアダプター署名があります。これは署名を暗号化した状態で検証ができ、また一度復号すると復号鍵が公開されるので一回きりしか使えないという特性を持っています。この特性を応用することでブロックチェーン間のアトミックスワップがスクリプトレスできたり、DLCのCETに活用されたり、またライトニングネットワークに使われるHTLCをPTLCというよりプライバシーを向上する仕組みに適用することができます。シュノア署名だけでもまだまだその応用や実装が行われている段階にあります。

また4年前のSegwitソフトフォークでさえ、昨年末にようやくSegwit普及率が80%を超えたばかりです。Segwitも大型アップデートであり、かつその導入には賛否両論あったので普及には4年以上かかりました。

そこに来て今ビットコインコミュニティでは次のソフトフォークのシグナリングが開始されようとしています。ソフトフォークで導入しようとしているのがBIP119のOP_CTVという新しいOPコードです。OP_CTVは事前に送金先をコミットしておき、そのコミット先以外へは送金をできなくする一種の制約を課すためのOPコードです。BIP119のサマリは以下となっています。

OP_CHECKTEMPLATEVERIFY uses opcode OP_NOP4 (0xb3) as a soft fork upgrade.
OP_CHECKTEMPLATEVERIFY does the following:

・There is at least one element on the stack, fail otherwise
・The element on the stack is 32 bytes long, NOP otherwise
・The DefaultCheckTemplateVerifyHash of the transaction at the current input index is equal to the element on the stack, fail otherwise

The DefaultCheckTemplateVerifyHash commits to the serialized version, locktime, scriptSigs hash (if any non-null scriptSigs), number of inputs, sequences hash, number of outputs, outputs hash, and currently executing input index.

The recommended standardness rules additionally:
・Reject non-32 byte as SCRIPT_ERR_DISCOURAGE_UPGRADABLE_NOPS.

このソフトフォークのアクティベーションには前回Taprootと同様なSpeedy Trialによって行われる予定で、シグナル期間は下記の通り、5月5日~8月12日となっています。この期間にシグナルが90%以上に達するとロックインされ、11月9日辺りにアクティベートされます。

  • Signal Start MTP: 1651708800 (May 5th, 2022, 00:00 UTC)
  • Signal Timeout MTP: 1660262400 (August 12th, 2022, 00:00 UTC)
  • Activation Height: 762048 (Approximately Nov 9th)

このソフトフォーク、コミュニティ内では物議を醸しだしており、主に賛成派はビットコインの後発組で、新しい機能追加は良いこと、少ないコードベースの改変、低リスクといった理由からソフトフォークするのに支障はない、といった意見が聞かれます。一方、反対派は保守派や早期からのコア開発者が多く、もっと慎重に進めるべきだ、本OPコードはそこまでメリットをもたらさない、などといった意見が聞かれます。

今になってOP_CTVのメリット・デメリットが活発に議論されるようになったので、提案者からしたらしてやったりなのかもしれません。ここまでしないと人は見向きもしないのでしょう。ただ、やはり寝耳に水というか、コミュニティ全体の「なんとなく今回のソフトフォークはこれだよね」といった雰囲気や支持が足りなく、一部の賛成者によるプロモーションから発起したように思われます。

個人的にも今回のソフトフォークは時期尚早だと思っています。まだまだTaprootの普及が進んでいないので、まずはその普及や新たな応用を見つけることが先決です。今回のような小さな機能追加だとしても、一度それを許してしまえば、今後どんどんソフトフォークしてしまう懸念もあります。ビットコインはもっと堅牢・慎重に進めていくべきプロジェクトではないでしょうか。

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ちょビットコイナー

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