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ビットコイン関連株2024Summary (SQ)(TSLA)(MSTR)
2月13日は『NISAの日』ということで、保有中のビットコイン関連株ここ1年の振り返りを。
①Block(SQ→XYZ:2025変更)
今年はBitkey出荷開始、3nmプロセスのマイニング用チップの開発成功が大きい。これにより、ビットコインウォレット及びビットコインマイニングのハードウェアベンダーとして既存プレイヤーへプレッシャーを与えるだろう。マイニングハードウェアベンダーは寡占が著しく、マイニングの分散化促進のためにも、Oceanへの出資も含め注目している。
経営資源集中のため、JAY-Zとの音楽ストリーミングサービスのTIDALの縮小、Web3を超える「分散型Webプラットフォーム:Web5」を掲げるTBDの廃止を決定。ビットコイン・インフラ企業への戦略転換である。
また、ビットコイン関連の月間粗利益の10%でビットコインドルコスト平均法(DCA)購入開始。数年で1万BTCを超えるだろう。「Bitcoin Blueprint For Corporate Balance Sheets」の公表も素晴らしい。企業によるビットコイン取得プロセス、保有資産の保管、保険、会計処理方法の実用的な指南となっている。
Square、Cash App売上の一部をビットコインへ自動変換する機能「Bitcoin Conversions」の普及はこれから。価値の保存から価値の交換へステップするには、税制を含めた外部環境課題が多いが、今後の進展に期待。
②Tesla(TSLA)
2021年1月、15億ドル相当のビットコインを購入したTesla。その行為は、テラ・ルナ破綻そしてFTX崩壊まで続いた2021クリプトバブルの引き金となった。それは、同社CEOがトランプを当選に導くことで結果的に起きた2024急騰劇と重なる部分がある。
その後ビットコイン保有分の70%以上を売却したが、昨年買い増しを実施し、2025年2月時点で11,509BTCをHODL中。
本業ではBYDの快進撃が続くが、4Qの自動車販売台数でモデルYは世界で最も売れた自動車となった。最も売れたEVではなく、最も売れた自動車であることは注目に値する。
今後のテーマはフル・セルフ・ドライビング(自動運転)とヒューマノイドロボット(Optimas)だが普及の道はこれからだ。以下はイーロンの決算発表ポエム。
●乗用車は週7日間、168時間で10 時間程しか稼働していない。しかし自動運転になれば、少なくとも週の3分の1の55 時間くらいが利用されるとみる。貨物の配達を例にとれば人々が寝ている真夜中に荷物を配達することも可能だ。当社のクルマはコスト負担無くソフトウェアの更新だけで現在の 5 倍以上の有用性を持つようになると考える。
●より複雑な機能を備えるヒューマノイドロボットは、おそらく自動車の1,000 倍の用途があろう。
●エネルギー事業も4Qは過去最高を更新した。メガ・パック(大型蓄電システム)とパワーウオール(家庭用バッテリーパック)の売上増が貢献した。
昔からCEOが最大のリスクかつ最大の成長エンジンであるTeslaをEVメーカーと見るか、自動車/電力/AI/ロボットのコングロマリット(複合事業体)と見るかで投資判断も大きく変わる。
Xの悲劇とも言えるTwitter買収劇のあと、新CEOリンダ・ヤッカリーノは、イーロンが掌握する6社は独立したビジネスではなく『企業から成る星座の一部』と表現した。
SpaceX、Neuralink、X、The Boring Company、xAIを擁するマスク帝国の本体と呼べるTesla社。将来的には宇宙事業・バイオ事業・SNS事業・トンネル採掘事業・人工知能事業という衛星国家を率いる連邦政府のような巨大財閥を形成するかもしれない。実際、従業員の一部は複数の会社を掛け持ちしている。
昨年末、この連邦に更に巨大な衛星事業が加わった。双子の赤字に苦しむアメリカ合衆国のリストラクチャリング事業だ。これがTeslaに与える影響は良くも悪くも甚大だろう。
最早何でもありだが、破壊的イノベーターとして、敵か味方かビットコインのジョーカーとして、イーロン・マスクは見逃せない。
③Strategy₿(MSTR)
BlockとTeslaだけでも十分なのだが、ビットコイン関連株ポートフォリオにマイケル・セイラーが入っていないのはやや寂しかろう。
2025の社名変更でビットコイン・ピュアプレイ企業への変貌を名実ともに示したStrategy₿。
2023まで1.0を切ることも多かったNAV(純資産価値。株式時価総額をビットコインの保有高で割って算出される数値)は、トランプ当選前後に3.0を超えるプレミアムを付けた。そこからセイラーは急加速で爆買いモードに入り、50万BTCはもう間近。政府備蓄米ならぬ政府備蓄ビットコインを睨んでの動きだろう。
現在1.8前後で推移するNAVプレミアムやBTC Yield(ビットコイン利回り)をどう考えるかで、投資判断が分かれるはずだ。2月現在の平均取得価格は6.5万ドルであり、投資スキームは比較的堅牢だが、プレミアムを払う価値を見いだせるか。
私個人はビットコイン現物が良い。だが、あくまで株式投資限定で考えた場合、マイニング企業などよりは妙味があると考える。Strategy₿の株価はマイニング企業よりも、ビットコインの価格に素直に連動する傾向がある。ビットコイン価格に強気ならアリだ。
言うまでもなく、セイラーへのトラスト自体が大いにリスキーだが、暗号資産税制が夜明け前の我が国の株式投資家ならば、無税のNISA枠でNTTや日産を買うよりも余程面白い投資対象だろう。現在絶好調のメタプラネットでもいいが、不確実性はMSTRを遥かに上回る。
おわりに
ビットコイン関連株はサテライト戦略やホビーとして有意義な研究対象。ビットコインの非中央集権性のため、BTC現物保有の一般普及が最良だが、UIUX改善は道半ばであり、それまでの中継ぎとして今後も見守る所存。