
カジノ資本主義と国民総株主化にみるETFとビットコイントレジャリー企業の功罪 その1
皆さんは、ブラックロックなどのビットコインETF群、MSTR、XXIなどのビットコイントレジャリー企業群の登場をどう評価しますか?
ビットコインの敵か味方か。必然か害悪か。時代の寵児か徒花に過ぎないのか。世界のビットコイナーでも意見が割れているテーマです。
もし未来の人々がビットコインの歴史を振り返ったとしたら、ETFやトレジャリー企業の使命は何だったと定義するでしょうか?
・既存金融からビットコインへの大規模攻撃
・ビットコイン・マスアダプションの起爆剤
・自己管理などのビットコインの本質を歪めるニュー・ビットコイン・ジーザス
・ビットコインを個人レベルの資産から、機関投資家・国家レベルの価値保存システムへ転換したゲームチェンジャー
・「Do not trust, verifyって何?」なビットコイン保有者全盛時代への号砲
などなど、功罪入り交じった歴史的評価が下されると予想します。まあ、歴史とはその時々の体制に都合良く解釈されてしまうものです。
有名なビットコイン・マキシマリストでも、マイケル・セイラーを高く評価している人物は多いです。反対に、ビットコインの金融商品化から距離を置き、分散性やトラストレスを損なう存在として否定的な人物も沢山います。
皆さんはどう考えますか?
私は端的に言うと「資本主義においてETFなどビットコインの金融商品化は避けられない必要悪。ただ、セイラーなど個人の偶像化は避けられる絶対悪」
個人だろうと法人だろうと誰がビットコインを保有するかは自由。自己管理しようとデリバティブ商品化しようと、どう扱うか、どう保有するかしないか、全て自由市場における裁量だからです。
ただ、偶像化や個人崇拝はビットコインへの理解の浅さを示すだけでなく、第三者への信頼を無駄に醸成する有害事象です。ペーパービットコインに賭ける時に必要なのはトラストやリライアンスではなく、リスクテイクやスペキュレーション精神です。
ちなみに私はサトシの偶像化も同じように好きではありません。セイラーのナルシスト投稿もサトシの銅像もミームとして楽しむのはありですが、信者的ムーブが起きた場合、コミュニティ外からは単なる宗教に見えてしまう弊害とのトレードオフです。サトシは救世主のように崇拝されることを望んだと思うでしょうか。サトシのキリスト化やホワイトペーパーの聖書化は、第二のBSVを生み出すドグマティックな有毒性に溢れています。
さて、仮にペーパービットコインがスタンダードになったとして、現物ビットコインにどんな影響を及ぼすかは計り知れませんが、本人の意志で動かせるビットコインの希少価値が高まる可能性は大きいと思います。
機関投資家がどんなにビットコインを掻き集めても、ビットコイン借用書を売り捌いて大儲けしても、現物ビットコインの価値や機能は何ら毀損せず、自己管理されたシードフレーズを奪うことも出来ないからです。
時が来れば、ペーパービットコインの価値や機能の低さに気づいた人々から現物へのシフトが起きると思います。現在のアルトコインからビットコインへのシフトと同じ現象です。
では、ETFやトレジャリー企業の賞味期限をどう見積もるかですが、アルトコインよりはモメンタムが長持ちでしょうね。原資産がハリボテではなく本物のハードアセットだからです。一方、税制の有利さ、証券口座からのアクセスの良さ、管理の手軽さ、CEOのアイドル性や幻想などによるプレミアムの膨張はそこまで長く持たないでしょう。
予想としては「大手ETF、MSTRなど相場下落耐性の高い銘柄は、次回半減期の手前くらいまでPERのミスプライスが続きロング優勢。その後は現物の機能性が見直され、徐々にビットコイン借用書のプレミアムが剥がれていき、中小ETFの償還、体力のない企業や詐欺的トレジャリーの株価暴落が頻繁になりショート優勢」です。
まあ、市場の期待値の過度な乱高下こそトレードの価値源泉です。あえて偽物のビットコインに賭ける理由は、愚かな取引参加者の期待と不安による市場のミスプライスを釣り上げやすい漁場だからに過ぎません。
強欲な資本主義者によってビットコインの株式化は現在進行形であり避けられない現実です。自己管理型のP2P価値交換時代の本格化が更に遠のきそうな反面、ユーザー管理の秘密鍵が制御するUTXOの希少性が高まるのではないでしょうか。ユートピアでもディストピアでも無く、未来は常に現実の延長線上にあります。
さて次回は、この現象を「資本主義のカジノ化」そして不動産、債券、株式、法定通貨、金、ビットコインなど「アセットの相関性」から分析します。
私の長期休暇が終わってしまうので、当分続きは書けません。またSpotlightのGOXリスクが高まっており、全ての記事が消えてしまうかもしれません。数ヶ月前から過去記事のリンクも消えてしまいましたね。
私の駄文はサトシのように消えていいので、この閑散とした廃墟サイトと運命を共にします(引っ越しめんどいので)
一応、次回記事に使う図表だけ残しておきます。
Spotlight存続を共に祈りましょう。