XEM事件関係の最高裁判決を受けて

XEM事件関係の最高裁判決を受けて

「彼女(翼を持つ少女)が救世主だったり、救出を通して彼女と心の交流があったというわけではないんです。ただ、状況に全面降伏しないで、自分の希望、ここだけは誰にも触らせないぞというものを持っているとしたら、それを手放さなければならないのなら、誰の手にも届かないところに離してしまおうという。そういうことですよ。離した瞬間に、心の交流がちらっとあったかもしれないけども。それでいい、それだけでいいんです」

出発点―1979~1996 宮崎 駿:560ページ

考えてみれば、地上で人が生きられないほどの放射能が蔓延しているということは、ラストで警官2人は死亡したという解釈が自然だろう(車はずっと走るのではなく、少し脇に逸れて停車する)。

最後に少女が飛び立つ前に下を見て、ちょっと寂しそうな表情を浮かべていたのは、自分を救ってくれた2人が死ぬことを悟っていたのかもしれない。

少女も放射能が蔓延する世界では、たとえどこへ飛んで行っても生きていけないかもしれないが、それでも「誰の手にも届かないところに離す」様が、とても美しく尊いものに思える。例え、その後に死が待ち受けていたとしても……それこそが重要な物語だったのではないか。

(C) 1995 Studio Ghibli

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