「パニックが起きたらどうしよう」というパニック 2024年8月8日の南海トラフ臨時情報発令を受けて
2024年8月8日(木)、南海トラフ地震臨時情報が発令されました。
これを受けて、あらためて防災の備えを確認したという方もいらっしゃることでしょう。
そんな中で、「買い占め」に関するニュースが散見されるようになりました。
多くのメディアで、「買い占めしないで」という記事が出ています。
・・・しかし、これはどうなんでしょうか。
「買い占め」という言葉はふつう、転売などを目的にして、使いもしないものを買い漁る行為を言います。
これに対し、大勢の人が同時に買い求めたせいで、品薄になったということなら、それは「買い占め」とは言いません。たんに需要が超過したというだけです。
具体的に言うと、一人の人が、スーパーの棚にあるペットボトルを300本買って行ったら、それは「買い占め」かもしれません。(転売目的なら確実にそうです)
しかし、300人の人が、一本ずつペットボトルを買ったせいで棚から商品が消えた場合、それを「買い占め」と言うでしょうか?
各々が、「ついでにちょっとだけ備えを増やそう」と考えることが、果たして買い占めなのでしょうか?
たしかに、米や飲料が売り切れていたら、それは驚くべき光景なのかもしれません。しかし、「売り切れ」だから「買い占めの結果だ」、というのは、ちょっと短絡的ではないでしょうか。
私が問題にしたいのは、言葉の問題ではありません。国語の授業みたいなことをしたいのではありません。
私が取りあげたいのは、「パニックが起きているかのような報道」という現象そのものです。
そして、パニックを恐れる側こそが、既にパニックに陥っているのではないか、ということです。