学力向上をささえる側から、さまよえる保護者の方々へ

学力向上をささえる側から、さまよえる保護者の方々へ

2,000組の親子から

 おもに理系を中心とした教育支援業で多くの児童や生徒と接してきました。6才から大学院生まで。これまで授業などで直接教えた人数でおよそ2,000名ほどでしょうか。子どもたち(一部は青年)とその保護者の方々からいくつか見えてきたので示します。

それは子に親がどう接してきたかです。この記事ではあくまでも学力面で子どもの評価は避けつつ記述しました。すくなくとも子どもの意欲や自主性という面でとらえていただければと思います。

親の気持ちの余裕

 結論からいうと、親が子に対してどれだけ余裕を持った態度を示してきたかです。この「余裕」とは何も経済的・時間的という意味ではなく、気持ちの「余裕」。とくに小学校低学年までの子どもに対してです。

保護者の方々と面談の機会があります。なかにはそののちも20年あまり交流のつづく方がおられます。その方は、当時反抗期の子にどう向き合うえばわかってもらえるか私にたずねつつも、自問自答してたしかめておられるかのようでした。

また新しくお店を持ち、大きなローンを抱え働きずくめですとおっしゃっていました。けっして楽に生きていらっしゃるはずはありません。お仕事を日々とどこおりなくすすめられ、つつましく暮らしているように見受けられました。

ところがお話しされる表情に余裕さえ感じられたのです。そこにはお子さんの話になるといつも目を細められ、期待や愛情が抑制のきいた言葉の端々に感じられました。

若かった私には、「たくましいご両親だなあ。」と印象深かったですし、しみじみお子さんたちが糧になっていると感じられました。もちろん今ではお子さんたちは独立されて、社会をささえる人物にそれぞれ成長しています。

親ならあたりまえじゃないかとお読みの方々はお感じになるかもしれません。そのおとなの「あたりまえ」こそ、気持ちの余裕を確保するために求められ、再確認してみたいところではないでしょうか。

余裕をもてない保護者の方々のとまどいと方策

 過保護でもなく、過干渉でもない「中庸」。ほどほどがよいことがわかっていても、なかなかわかってくれない子ども。いら立ち、感情の高ぶりがおこるのもしかたないかもしれません。ほんとうにもどかしくなるでしょう。

とくに最初のお子さんはそうかもしれません。子どもの数が減っていますので、保護者の方々とお話しすると、とまどいや自信がないごようすが見てとれます。さまざまな情報をあつめても、まわりにきいてもわかりません。

それはそうです。教育に正解はないでしょう。上で「中庸」という言葉で紹介したように、結論としてほどほどがよいということです。保護者も子どもをつうじて親として成長していきます。なにも子育てに完璧をめざす必要はないですし、その姿勢ではうまくいかないものです。

そこで迷いつづける保護者の方々へのより具体的なアドバイスのひとつは、「ダイニングテーブルを活用してみては。」です。親子の距離が文字どおりちぢまり、気持ちの余裕が生まれます。

中・高校生ならいやがるかもしれません(その場合には自立をうながすべつの方法をつかいます)。小学生低学年ならばすんなりできるかも。これからより具体的なお話をします。

具体的な家庭学習の話

 「ダイニングテーブルで勉強」にはデメリットよりもメリットが多いです。子どもの学習のようすや現状が見てとれ、子どももわからないときにすぐ助けがもらえます。

何よりいいのは生活音に満ちあふれていることです。仕事から帰ってバタバタ家事をこなしながらでもOK。

生活音のなかで集中できることは、経験からでも明らかです。英語のリスニング中でも私は気を使わず、平気で音を出しつづけています。そしてここがたいせつですが、ほんのわずかな間でいいので、保護者の方もテーブルについてじゃがいもの皮をむきながらでもお子さんと時間を過ごせればとてもよいです。

その間はお子さんと時間を共有できます。なにもお子さんの勉強をやっきになってみる必要はないです。ご自分の席でできることをされてください。

必要なときは「教えて。」と子どもからたずねてくるはず。友達関係などの相談もあるでしょう。それまでは傍観。見て見ぬふりぐらいです。

共有空間から生まれる気持ちの余裕と家族のつながり

 わずかなあいだでもそばにいてくれると子どもは安心します。「お母さんやお父さんが一緒にいてくれている。」そう、とらえてくれるでしょう。

親に認めてもらいたい、本音は自分をかまってもらいたい気持ちでいっぱいですから、短いあいだでも一緒にいてくれる至福の時間と思うようです。

「ここでやると楽しいかも。」と思えたら、時間はかかりますが自主的に宿題をやるようになっています。

「いや、うちの子には親といるのは地獄の時間だ。」そう思ったとしたら、ふだんのお気持ちの余裕は保てていますでしょうか。

いま一度、深呼吸してイライラを抑えて、親の側から機会を設けてみてください。ダイニングテーブルまわりが散らかりやすいデメリットの軽減策として、いすの左右、後ろ、下などにラックや袋、小棚を設ける工夫をされているご家庭がいらっしゃいます。

ダイニングにいる他のご家族の方のご理解も大事です。協力をもらい、リラックスされている方との共存のアイデアをさまざま出してもらいましょう。

中・高学年になってきたら、子どもみずから、ダイニングテーブルでの学習のくふうを提案してもらい、自主性を重んじ尊重する姿勢を示しましょう。そして実践できたらほめてやります。成功体験は自信になります。

さいごに

 文章が長くなりました。いつか振り返ってみたら、ああ、こんなこともあったと過去の懐かしい思い出のひとつになるでしょう。親の子育ての苦労の分だけ、子どもは確実に成長しています。親が子どもの成長期に遭遇できる時間は十数年のみです。

さまざまなことが起こっているでしょうが、どんなときも気持ちに余裕をもって、お子さんに接してほしいと思います。これこそいま一度とらえていただきたいと思った点です。

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