実録・女子会の闇〜私は友達が開いてくれた誕生日パーティーで「帰りたい」と言ったことがある〜

実録・女子会の闇〜私は友達が開いてくれた誕生日パーティーで「帰りたい」と言ったことがある〜

自分の誕生日に集まり祝って貰いながら帰りたいとはナニゴトだ!?そのナニゴトを書く。

忘れもしない、あれは23歳の誕生日だ。

私には高校からの友達が5人いた。

高校を卒業し大学で別々になってからは普段全く連絡は取り合わないものの

数ヶ月に一回、メンバー1フットワークの軽いA子から連絡が来て、集まろう折角だし誕生日を祝おう、と集まるパターンだった。

1年は12ヶ月。5人もいれば年中誰かしらの誕生日が、少し遅れたり早めたりまとめたりで集まる口実になるのだった。

違和感を感じたのは高校を卒業してから半年後の、第1回目からだった。

A子が予約してくれた小洒落たレストランで久々の再会。

「「「「「「久しぶり〜!」」」」」」

わずか半年だが、心なしか全員服装や容姿は順調に大人っぽくおしゃれになっていた。

それぞれの特性の延長上で進化した外見、という感じだったが

A子B子は内面の特性が変化球で伸びていた。

久しぶり〜!の後に私は皆にチョコレートを渡した。

集まりの数日前に、街で美味しそうなチョコレートを見かけたので買ったものだ。

チョコレートが好きなA子の顔が浮かんだのだ。

あの子チョコ好きだったしこれ美味しそうだなあと、集まりで渡そうと思ったのだ。

特別なことではなく、友達が喜ぶと嬉しくて高校時代に皆幾度となくやってきたことだった。

A子にだけとはいかないので、全員にも渡した。

すると他の子はありがとうと言って喜んだが、当のA子はチョコの紙袋を一瞥し言った。

「私エルメのチョコがよかった。」

えっ。

大した土産では無いが、そうくるとは。

キャッチャーミットなどお構い無しに後頭部に球が飛んできた心地。

美味しいよねエルメのチョコ、わかるよ、私も好き。

でも、今?

もしかしてそういう、親しい間柄なら許されるだろうという?一歩踏み込んだ?ジョーク?なのかな。

でもA子はこんな事言う人だったか?

少し我儘なところはあったけれど、今までで今回のような記憶は無かった。

私は一瞬の硬直の後、ごめんねエルメじゃなくて、見かけて美味しそうだったから、と言った。

その後皆で時間を過ごす中で、私は特にA子とB子に違和感を感じていた。

後にきいた話だが私がトイレに行っている間に一人暮らしをしているメンバー1朗らかなC子が最近ハンバーグ作りにハマり試行錯誤した話をしたらしい。

キャッチボールにふさわしい穏やかな話題、緩やかな投球。

やはりハンバーグは牛肉100%よりも豚肉も混ぜる合挽きのが美味しい、とC子が言うと。

「ん〜そうかな?ちゃんとしたとこのを食べたことないんじゃない?○○のハンバーグ食べたことある?牛肉100だけだけど美味しいよ。」

とA子が言った。

C子は○○のハンバーグは食べた事は無かったが、他のA子の言うちゃんとしたとこレベルのものは食べた事はあり、その上で合い挽きが美味しいと言ったのだが

それをわざわざ説明するのもめんどくさくなって、そうなんだ( ^ω^ )とだけ返したらしい。

キャッチャーミットを外したC子の足元を「話題:ハンバーグ」がコロコロと転がった。

私は○○のハンバーグを食べた事があったが合挽きのが美味しいなと思っていた。

そう、これは個人の好みはある、お店の腕もある。

しかしA子はただ牛肉100%のハンバーグの美味しさを伝えたくて言ったのだろうか。

違うとわかるだろう。

その、話に込められる一滴のエッセンス。

純粋に意見を交換したり、相手を知ったり、会話を楽しむのではなく、会話を利用して自尊心を満足させようとする、他者を蹴落とし自分を良く見せようとする意識のエッセンス。

その香りを私とC子は嗅ぎ取っていた。

どこまでお分かり頂けるかわからないが、A子B子の話は終始このエッセンスの香る、時にはエッセンス100%、カルピスの原液みたいなものを撒き散らしていた。

ベトベトするのだ。ベトベトすると疲れるし、早く帰ってシャワーしたくなるのだ。

昔は楽しかったキャッチボールがなんだか違うものになっていた。

2人からどうしようもない飢えみたいなものを感じた。

何があったかわからないが、そんなふうにA子とB子は、なっていた。

良い悪いではなく、怖かった。

チョコの件からして価値観の違いがある。

怖かった。だって、チョコの件のように私が良いと思うことでも彼女達には無価値だったり、野暮だったりしてしまうかもしれないのだ。

私にとって飴玉でも彼女達には兎の糞で

子供の頭を撫でるのが愛情表現と思っていたら、ある国では失礼にあたる、みたいな価値観の違いの恐れ。

異文化だ。

「やっほ〜!」とハグしようと笑顔で近づいたら「ファック!」と銃で撃ち殺される、みたいな怖さがあった。

けれど2人の全てが別人になったわけじゃない。

疲れるけど、良いところもあるし、今ちょっと精神がすさんでいるだけかもしれないし、他3人は普通だし、普通の話もできるし。

縁を切る程ではない。

長年の付き合い。

今、私と彼女達を繋ぐのはそれだけだった。

今からA子B子と初めて新しく友達になれるかと言われたら厳しい、怖い、そんな感じだった。

薄情かもしれないが、正直もう2回目の集まりから行きたく無いという意識はあった。

私はそれから時折、風邪を引くなどして集まりには半年に一回位で顔を出していた。

A子とB子の精神はすさんだまま月日は経ち、どうなんだこれはしんどい!と思いつつ私の誕生日になった。

望んでもいないが主役だから当日風邪を引くわけにもいかず出席した。

当日。

色々と割愛するが、ベトベトする時間が過ぎ、解散となった。

私はA子とB子と帰る方向が同じでタクシーに乗ろうとした。

「ばんばんのお誕生日だしクラブに行こう」

「えっ」

何がどうなって=(イコール)で繋がるのか全く理解ができないが、私の誕生日とクラブの法則をA子がとなえた。新しすぎる。

隠の者な私はクラブにも行ったことが無かった。

クラブは音の中で人が踊る場所ときいていた。

イントネーションすら怪しい。

「体操クラブ」の「クラブ」のイントネーションしか持たなかった。

音楽で踊るのは部屋で一人で真っ裸でうなうなと身体をうならせる奇行スタイルしか持たなかった。人に見せてはならぬ姿だ。

「いや、もう今日は充分祝ってもらったからいいよ」

「私今日クラブに行くの凄く楽しみにしてたんだっ行こう!」

「A子とB子で行っていいよ、私は」

「せっかく久々に誕生日で集まったのにー!」

それを言われると弱かった。

例え望んでなくても、自分の為に人が何かしてくれたならその恩に報いたかった。

私は精神が弱い人間なのだった。親しい間でもノーをあまり言えないチキンだった。

私は私の誕生日とクラブの法則は成り立たないことに目を瞑り、クラブに行った。

初めてのクラブは地獄であった。

クラブのフロアで私はタイムスリップして現れた野武士のような感覚だった。

まずしかるべき所作がわからない。

音楽を聴き踊りたい気分ならよかったのに、全然そんな気分でいる訳では無いので、この場に無目的100%でいる者なので。

今すぐ刀さえ渡してくれたら刀を振り回すという所作ができるのに、私は刀の代わりにドリンクを持って棒立ちしていた。

これどうしよう…と目まぐるしく色の変わる天井を見たり、踊る人達を見ていたらどこかに行って戻ってきたA子とB子に話しかけられた。

帰る!?私は散歩の時間の犬のような顔をしていたと思う。

騒音の中聞こえたのは

「声をかけてきた男3人グループと別の場所で飲むことになった」

そうなの?帰らないの?

地獄だった。

私とA子B子は男の子3人と向かい合って座っていた。相手軍はおそらく全員歳下だ。

私は知り合いや友達からゆっくりと親密になり親交を深める質であったので、このような合コンのような、さあ〜がっぷりがっぷり!男と女!あわよくばくっつきましょう!な感じは苦手だった。

A子B子男軍らは楽しそうにしており、盛り下げないよう私も楽しもうと努めた。男の子ら、A子B子をもっと知り、人間的興味を沸かせようとした。

しかし脳裏をよぎる「私はなぜここに?」「家でバックトゥーザフューチャー観たくない?」が私からエネルギーを奪っていく。

私は時折笑い当たり障りのない受け答えをしていた。

面白いわけがないまま時間が過ぎ

A子が言った。

「凄く楽しい!これからみんなでカラオケに行こう!」

なんで?

気付けば私はカラオケにいた。

男軍が3人である限り、こちらも3人である必要があると言う。A子B子の圧が凄くて、私は弱くて、帰れなかった。

「私ちょっと眠くなってきて、歌う元気はないから、ごめんね、みんな歌って」

私はそう言って、精神的と肉体的疲労から一曲も歌わなかった。

心の中では帰りたいとシャウトしながら肉体のスピーカーはオフにしていた。

時刻が夜の2時を回ったころ限界がきた。

トイレに行くと、A子もついてきたので意を決して言った。

「私の誕生日で集まってくれたのは嬉しいんだけど…私これ、私…今から帰りたい。疲れて…。帰ってもいい?」

「ん〜」

A子はふ、と鼻で笑うような感じで言った。

 

「私達はそういうの、やってないかな」

 

そういうの、やってないかな。

そういうの、やってないかな。

メニューになかった。

寿司屋でグラタンを注文しても「うちはそういうの、やってないんすよ」と言われるだろう。

きっと、そういう事だろう。

私はそういう事を言ったのだろう。

彼女はそういう事を言っているのだろう。

「1人抜けて帰る」という選択肢はメニューに無かった。

なんでだ。

すると

「あの子(男)達にタクシー代出させないとダメだから、私達から帰るとかあり得ない。全員揃ってないと困る。」

???そんなメニューはあるの?????

異文化が極まっていた。

全く知らない世界の全くわからないルールだった。

未知のゲームに私は参加してしまっていた。

今すぐ帰って寝た方がいいだろう、永遠にお眠りあそばせてはどうだろう。

私はもうしんどくて笑うことができそうにない、場が盛り下がる、私などいなくていいではないか、帰れないなら私はもうトイレにずっといると言った。

するとあと30分でお開きにするとA子は言った。

あと30分かあ!ホッとしてカラオケの部屋に戻った。

私は知らない。

この後、まるで「もうすぐ妻と離婚するから」「ほんと?ほんとに別れてくれるの?」とずるずる不倫を継続させる男と女のように「あと30分で帰るから」「ほんと?ほんとにあと30分?」を繰り返し、解散するのは朝の4時になることをー

 

カラオケ屋の前で男軍と解散した。

勿論タクシー代など無い。

果たしてA子とB子はどんな顔をして何を思うのか。

「こうして男の子にチヤホヤされるとまだまだイケてるんだってホッとする」

「あの男の子私のこと狙ってたよね」

無の時間を振り返り、空(くう)を掴み、なにかを得ようとしていた。

私はすごく悲しかった。

自分の弱さも、A子とB子の弱さも悲しくてたまらなくて、帰り道で1人になった途端に涙が溢れて泣いて帰った。

 

自分が情けなかった。

泣きながら私は強くなろうと思った。

はっきりものが言えなくて、こんな思いをするのはもうごめんだ。最悪だ。

嫌なものは嫌だ、私はこう思う、それをちゃんと言える人間になろう。

そう思わせてくれたのはA子とB子のおかげで、なによりのプレゼントだった。

それが私の23歳の誕生日だった。

 

 

そんな人の描いている猫のジャンキーはこちら↓

21話で無事完結しました!

‪猫のジャンキー 第1話 | ばんばん https://spotlight.soy/detail?article_id=fesmzn5n1‬

これも書きました↓

私は死にたくて腹を切ったことがある | ばんばん https://spotlight.soy/detail?article_id=ba75t9ask 

Remaining : 0 characters / 0 images
100

Sign up / Continue after login

Campaign

Related stories

Writer

こんにちは。漫画で猫のジャンキーの話を連載していきます。応援して頂けると筆がすすみます!よろしくお願いします!

Share

Popular stories

猫のジャンキー 第1話

308

私は死にたくて腹を切ったことがある

184

猫のジャンキー 第2話

175