令和3年度以降の国内最難関大学受験で注目すべき点:スタナイン方式による段階表示など

令和3年度以降の国内最難関大学受験で注目すべき点:スタナイン方式による段階表示など

はじめに

 このところ最難関大学をめざす生徒たちの指導の機会にめぐまれ、さまざまな気づきがありました。

東大・京大、その他の医学部など最難関大学や学部に入学をめざす層はごく少ないと思われがちですが、じつはけっこういます。ざっと見積もって毎年1万人以上の生徒たちがそこを目指しています。

それらを目指す生徒がいることはそれらの大学・学部を目指す生徒向けの出版物や予備校・塾の興隆を想像していただければおわかりいただけるでしょう。わりと多いものです。

受験制度が猫の目のように変わっています。もはや日本の受験制度を理解できれば大学入学できるのではないかと思えるほどです。

いくつかクリアしたい点について受験生ならびに保護者の皆さまに情報を提供したいと思います。今回はわたしの気になるうちのひとつを。

最難関大学をめざすうえで

 国内の最難関大学受験生の指導に限ったお話です。すでに一部は公知されたごくあたりまえのことにすぎません。その点で一部の方にはご期待には添えない内容でしょう。

じつは、わたしは国内の大学よりも、いま増えつつある海外の大学を志望する意欲のある生徒たちへの指導法はどうあるべきかに興味が移りつつあります。

話をもどしますと、国内最難関の大学を目指す際に大きな落とし穴になりかねないのに見落としそうなところがあります。

今回はそのことにふれます。

入試の過去問

 多くの受験生はこの夏にSレベルの入試の過去問などに取り組んでいることでしょう(わたしのところは卒業生はサポートしないので、現役の高2生の夏)。そしてそこそこ解けることに自信を持ちつつあるのではないかと思います。

ところが、こういった最難関を受ける際に軽々に考えがちなのが共通テストです。マークシートなので軽く考えがちですが、高2生は部活などがあり、その目標に向けての方策と目標に向けた効率的な工程表が必須のものとなります。

現役生にとっては高2の夏までには共通テストで、88~90%に届かせたいところ。何しろほとんどの共通テストの試験範囲は高1レベルですから、最難関以外のSレベル大上位合格ラインを早いうちに超えたいもの。同時にSレベルの2次試験合格ラインを高3になる前にはクリアできると目標が見えてきます。

そして高3の1年間を浪人したつもりで第一志望校A判定を取りつづけ、大学内の奨学金を成績優秀者として獲得できるようになろうと目標づけしています。

じつは、これだけの対策をして2次試験の過去問題が解けるからといっても、共通テストで目標どおりとれるとは限りません。どうしてでしょう。

次試験内容はクリアしているのに

 なぜならば、多くの生徒が共通テストレベルが9割に達した時点で安心しがちで、その後のダメ押しをやっていないか、おろそかにしている傾向があります。

じつは今回お伝えしたいことはこうした高い目標をめざしているはずなのに、足元の共通テストをあまりに軽くみてしまいがちな点です。「足元をすくわれる」とはこのことではないでしょうか。

共通テストは、長く使われ「枯れて」「もまれた」センター試験とは異なり、どうも導入の経緯をふくめ制度的にたてつけに問題がありそうなことをいくつかかかえています。

受験生にいらぬ不安を与える気は毛頭ありませんが、一般的な注意やそれを避けるすべはもっておくにこしたことはありません。

スタナイン方式とは?

 そのひとつをあげましょう。

令和3年度から、大学入学共通テストについては獲得した点数を段階表示換算表を用いて段階的に1~9段階で換算して総合成績に加味、合否判定の資料とされています。

そこではスタナイン方式という9段階での評価法に換算される方式をとるとアナウンスされています。こちらが令和3年度用の換算表で、https://www.dnc.ac.jp/albums/abm00040264.pdf

令和4年度の案内の一部です。https://www.dnc.ac.jp/albums/abm.php?f=abm00038526.pdf&n=08_%E8%A9%A6%E9%A8%93%E5%AE%9F%E6%96%BD%E5%BE%8C.pdf

スタナイン方式については、入試センター資料の原文を引用します。

(ここから)

「スタナイン(Stanine)」とは,分位点による区分法の一つであり,受験者を得点順におおよそ 4,7,12,17,20, 17,12,7,4%の群に分割し,科目別得点を得点の低い方から順に 1 から 9 の 9 段階に換算する方式です。

(ここまで)

著作権から現物をお示しできませんので、上記のURL先にとんで御覧ください。たとえば数学Ⅱ・数学Bでは96点ならば最高の9段階を獲得できますが、95点ならば8段階となります。

段階表示方式の注意すべきところ

 この段階表示の非情なところは9段階の境目のところの点数で1段階違ってくる点です。これは最難関をめざす上では大きく響きます。たとえば典型的な理系受験生AさんとBさんがいます。あくまでも令和3年度の資料に基づいて仮の計算を行なってみましょう。

(Aさん)

国語:171、地理B:84、数学Ⅰ・数学A:92、数学Ⅱ・数学B:96、物理:92,化学:91、英語リーディング:95,英語リスニング:85 合計806点 換算段階すべて「9段階」。

(Bさん)

国語:170、地理B:83、数学Ⅰ・数学A:91、数学Ⅱ・数学B:95、物理:91,化学:90、英語リーディング:94,英語リスニング:84 合計798点 換算段階すべて「8段階」。

ここで注意願いたいのは9段階に評価し直した点数をどう扱うか否かについて。上記の資料中に掲載されているのでそちらを熟読ください。各大学案内などで取り扱い法など熟知しておいてください。

AさんはBさんとくらべて、各教目の素点は1点ずつ多い結果でした。

仮にやっていいかどうかはべつとして単純に段階をすべて足してみましょう。8科目で段階を合計するとAさん:72段階に対し、Bさん:64段階となります。

つまり合計素点ではAさんとBさんではたった8点の差(806-798=8)が、(極端な例かもしれませんが)段階評価上では8段階のひらき(72-64=8)になってしまいます。8段階の差とはほぼ1科目分のちがいです。

したがって自己採点の誤差については、いままで以上に注意が必要になります。これまでの自己採点では実際の点数との誤差は数点以内であれば、一次試験の場合には配点の重みづけは小さく合否にはさほど大きな影響はなかったかもしれませんが、段階の境にいる受験生にとっては1科目分の差にもなれば大きいでしょう。

逆にほんのごくひとにぎりの最上位の生徒は100点満点でなくてよくなるかもしれません。 数学Ⅰ・数学Aは92点でも100点でも「9段階」です。

満点を毎回取りにいきたい気持ちはわかりますし、その心意気や意義も大事にしたいところですが、95点到達と比べて必要とする労力が格段に大きいです。現実をみつつ、とりこぼしなく国語や社会などの基本を押さえて9段階を確実に取る方に労力を使うのもよさそうです。

さらに9段階目を得られる最低点は科目によってことなり、たとえば世界史では97点ですが、地理Bでは84点です。各自の科目の選択は各自の適性も含めてカギかもしれません。

素点合計800点前後(得点率88~92%)あたりは最難関大学や医学部の共通テストのボーダーライン近傍です。しかも共通テストにかわり日が浅く、さまざまなことが起こりそうです。この段階表示方式は令和3年度受験生にとり、あまり世間でも注目されていませんが、ひとつのマークすべき点といえるでしょう。

共通テストにひそむべつの注意点

 比較的解答時間に余裕のある2次試験に比べて、共通テストは事務処理能力の検査といえるでしょう。高速で正確に解ききる力が求められます。とくに数学がそうです。それには多面的に見る能力や適した解き方を選ぶ力が試されます。

数学Ⅱ・数学Bではべつの解法でも解けるようになっておくと検算にもなりますし、2次試験にも有用です。これはごく常識的な異論の少ないところかもしれません。

合否をわける原因の多くがそこにあるようです。十分な対策を同時に進めていないと、試験が近づくにつれてあせってしまいがち。

共通テストの怖さは、たまたま解くのに時間がかかったばかりに、確かめが十分にできずに点数が伸び悩む「本番の怖さ」があります。ふだんの模試では意識しないでも9割以上をとれるようになったとしても、それは起こり得ます。

9割半ばを確実にする勉強とは、「9割をとれるようになった」で終わってはいけません。9割がたまたま3回続けて出ただけかもしれません。したがってコンスタントに97%以上を目指す「仕上げの勉強」を用意すべきでしょう。

おわりに

 どの科目も100点満点(国語は200点満点)を目指すよりも、まず確実に97、98、99,100点のいずれかをコンスタントにとれるように。20~30回分の共通テスト模試レベルの問題をやってその点数がとれるならば、ほぼ本番では9段階が取れる可能性があります。

この勉強の手始めはじつは標準レベルの問題集でできます。この問題集を隅から隅まで完璧に1冊全問解けるまで繰り返すことです。繰り返すたびに時間はかからなくなりますから、そんなに時間はとられません。

念のためもう1冊、うすめのものをやってかわりなく点数が取れれば仕上がっているでしょうし、そのまま数か月は維持できるでしょう。

私自身の経験や学習サポートの生徒たちの状況から判断すると、理科、地歴、公民、漢文、数学のある分野、英語に関しては上述の方法が効果が出やすいです。時間をかけずに97%以上を本番でとれると実践が物語っています。時間を節約できる分、2次対策などに時間が割けます。

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